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プロの財産調査を全部公開!

今月の豆知識

相続手続きの最初に行うのが財産調査です。
相続財産調査をしなければ相続放棄の判断や遺産分割協議、相続税申告を正しく行う事ができません。

財産調査をせず、後に新たな相続財産が見つかった時に遺産分割協議のやり直しや追徴課税といった問題が起きる可能性もあります。

また、後から負債が見つかれば相続放棄が間に合わないといった事態になる可能性もあります。
しかし、正しく調査をした結果、負債が見つからなかったという事であれば相続放棄が出来る可能性はあります。

今回は相続財産の中でも手続きが必要なものや価値が高くなりがちな物の調査方法をご紹介します。

しっかり財産調査をしてトラブルを回避!

預貯金の調査

全国の金融機関を一括して調べる方法はなく、金融機関ごとに口座確認の手続きが違うため全ての金融機関の支店を網羅的に調べるというのは現実的ではありません。

口座がわからない場合でも金融機関と支店が分かっているならば、必要書類(戸籍謄本や本人確認書類)をそろえて金融機関の窓口で相談して手続きを進める事がでるので、まずは支店を特定する必要があります。
一部の大手金融機関であれば全店照会といって、その金融機関の全支店で被相続人の口座を調べる方法もあるのですが、これが行える金融機関はごくわずかです。
なので心当たりや手がかりのある銀行を地道にまわって調べる事になります。

手がかりとしては、例えば亡くなった方の通帳やキャッシュカード、郵便物、メールやスマホアプリなどです。
支店がわかればそちらの窓口で口座の有無が確認できます。
※被相続人の死亡記載のある戸籍や、申出人が相続人だとわかる戸籍が必要な場合があります。

他には被相続人が生前に確定申告をしていれば申告書に口座が記載されています。

口座が特定できたら取引履歴も取り寄せておくと、その内容から他の相続財産も判明するかもしれません。
死亡時の預金残高は相続税申告でも必要なので、金融機関から「残高証明書」を出してもらいましょう。

不動産の調査

不動産においても被相続人の所有する不動産を一括で調べる方法はありません。

不動産の調査は公的な書類を探す事が重要です。
まずは「登記識別情報通知(権利書)」又は「固定資産税の通知書」等の不動産関連資料を探します。
銀行通帳から固定資産税の支払い履歴も不動産が発覚する事があります。

不動産が特定できれば次はその市町村の役所に名寄帳を請求します。
名寄帳は市町村内の不動産の所有を一覧にまとめたものです。
その市町村内に被相続人の所有する不動産があれば全て記載されています。

不動産が特定できていない場合も市町村がわかれば名寄帳を取る事ができます。

市町村までハッキリ特定できていないが大体の地域が予想できているという場合は、手間ではありますが近隣の市町村全てに名寄帳を請求する事になります。
名寄帳を集め終えたら全ての物件の「登記情報(登記事項証明書)」を取得しましょう。

借金の調査

借金や債務の情報は以下の3社に情報開示の請求をする事で一括で調べる事ができます。
・全国銀行個人信用情報センター(KSC)
・株式会社日本信用情報機構(JICC)
・株式会社シー・アイ・シー(CIC)
手数料はどこも千円程度で一週間ほどで結果がわかります。
会社によって扱う情報が違うので全てに問い合わせましょう。

また、自宅にある借用書や消費者金融などからの郵便物、通帳上の履歴、未納の税金や保険料などを調べることで発覚する事もあります。

しかし、開示請求だけでは、金融業以外からの借金や負債などは調べる事はできませんので書類を探して見つける他ありません。
連帯保証人などの保証人情報も開示情報に載らない場合があるので注意が必要です。

株式、FX、仮想通貨、国債の調査

株式やFX、国債に関する書類(口座開設書や事業の紹介書など)やメールを探し、そこから証券会社やFX会社が特定できれば、当該会社に問い合わせて取引残高報告書を発行してもらいます。
ネット証券などのネットの口座を使う物は書類がない場合も多いのでパソコンやスマホを確認する事も忘れてはなりません。

デジタル資産については別の記事がありますのでよろしければご覧ください。
スマホに隠れた財産で追徴課税!?

貴金属等の換金価値のある物の調査

貴金属等の動産は自宅等にあるか銀行の貸金庫に保管されている場合があります。
相続手続きが不要な物が殆どですが、遺産分割や相続税申告で評価額が必要になる事もあります。
その時は売買実例価額、精通者意見価格等などから評価額を確定する事になります。

自動車の調査

まずは車検証を探しましょう。
見つからなければ陸運局や軽自動車検査協会で車検証を再発行する事ができます。
再発行をするには車のナンバーなどの情報が必要ですがこれは送付されてくる自動車税納税証明書などで確認できます。
任意保険の保険証券でも確認する事ができます。
保険証券がない場合は損害保険会社に問い合わせることもできます。

もし車の注文書、請求書、領収書といった物が残っているなら車を所有している可能性が高いです。

車の金額を確定するためには中古車業者に査定を依頼するなどの必要があります。

最後に

自分ではない誰かの財産を漏れなく調査するということは容易ではありませんが、後にトラブルにならないためにも出来ることはやっておきましょう。
また財産を遺す方は相続人にわかりやすいように財産を一覧にして通帳や印鑑等と一緒に保管するのが良いかと思います。

手続きが難しい、手間が掛かると感じた時は専門家に依頼する事を検討いただければと思います。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

行政書士

丸谷春稀

保有資格

行政書士

専門分野

相続 遺言 家族信託 成年後見

経歴

立命館大学経営学部を卒業後、令和3年度行政書士試験に合格。翌年7月行政書士登録。家では年の離れた妹の面倒を見るイクメンの兄。


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