シーファースト通心Vol.32『誤解しがち!あなたの相続放棄は有効?』
今月のまめ知識 『誤解しがち!あなたの相続放棄は有効?』
“相続放棄”という言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、正しいやり方を知っている方は意外と少なかったりします。
そこで、今回は正しい相続放棄の方法と気をつけたいポイントを事例を交えて解説いたします。
【残念な事例①】
Aさんは妻に先立たれ、唯一の財産である持ち家に長女と同居していました。
長男は、相続放棄する旨の誓約書を書いていたこともあり、Aさんは、子どもたちは相続のことで揉めないと安心していました。
Aさんが亡くなった時には、長男は生活が苦しくなっていたため、誓約書の無効を主張。
法定相続分の金銭を長女に要求しました。
生前に相続放棄はできない!たとえ誓約書があっても安心できない。
【残念な事例②】
Bさんが亡くなり、夫・長男・長女で遺産分割協議を行うことになりました。
遺産分割協議書には「長男は債務も含め、何も相続しない」という条項も記載し、全員が合意の上、署名捺印しました。
長男のもとへ督促状が届き、生前Bさんが知人の借金の連帯保証人になっていた事が発覚!
債権者から、相続放棄したなら裁判所発行の証明書類を提示するよう言われましたが、すでに裁判所への申立て期限を超えていて、長男は途方にくれました。
遺産分割協議書に記載しただけでは、相続放棄したことにならない!
>>有効な相続放棄とは
~相続方法は3種類ある~
単純承認
プラスもマイナスも全部引き継ぐ。一般的に「相続する」という言葉が使われるもの。
相続放棄
プラスもマイナスも何も引き継がない。※裁判所への申立てが必要!
限定承認
プラスの財産分だけマイナスも引き継ぐ。※相続人全員で裁判所への申立てが必要!
~本当に有効な相続放棄のやりかた~
原則:被相続人の死後3ヶ月以内に裁判所へ申立てする
相続放棄申述書を作成し、戸籍謄本など必要書類を添付して家庭裁判所へ
提出します。申述が受理されると、相続放棄申述受理通知書が発行されます。
(限定承認も同様の期限があります)
期限を超えたら諦めるしかない!?
一定の要件を満たせば、期限を超えても相続放棄できる場合があります。
もし、まったく知らなかった被相続人の債務が発覚した場合でも、諦めずに
専門家に相談することをおすすめします。
相続財産を動かさない!
被相続人の死後、少しでも預貯金を引き出したり、所有していた不動産の修繕を行ったりすると、相続放棄が認められなくなる可能性があります。
次順位の人が相続人になる!
相続放棄すると相続権が次順位の人に移ります。そのため「古家を押し付けられた」など親族間の争いの種になることも!事前に連絡しておくのも大切です。
>>知っておこう、新しい制度
令和5年4月27日スタート! ~相続土地国庫帰属制度~
相続または遺贈により、土地を相続した人が一定の要件を満たせば、土地を手放せる制度。もし、あなたが将来“遠方に住んでいて利用する予定がない土地”や“管理できない田舎の土地”などを相続した場合に利用できるかもしれません。
『飛び地の不思議』
2007年に解消されるまでの135年間、“岸和田市の中”に“貝塚市清児新町”がありました。
この不思議な土地は飛び地とよばれ、“奈良県の中”に“和歌山県の村が丸ごとある「北山村」”などが有名です。
飛び地は世界中にあり、バングラデシュとインドの国境「クーチ・ビハール」には、なんと200を超える飛び地と“飛び地の中に飛び地がある2重飛び地”が混在していました(2015年解消)。
そして、ベルギーとオランダの国境の村「バールレ」では、飛び地が原因で国境線だらけになってしまい「家が国境線を跨いでいる場合は玄関のある方の国の国民となる」なんてルールまで存在します。
探せば探すほど不思議さを増す飛び地、その原因は場所によって様々で、調べるほどに土地の歴史を知る事ができます。
はじめまして。昨年の12月から大阪事務所に勤務しています司法書士の鄭(てい)と申します。
私たち司法書士は、不動産決済の仕事でいろんな場所に行くことが多いのですが、 週末は家でのんびりしていることが多いので、 決済でいろんな場所に行けることは貴重な経験だと思っています。
趣味は映画・ドラマ鑑賞で韓国ドラマが大好きです。
面白いと思ったものは夜更かししてでも見てしまいます。
司法書士としては、決済だけでなく、今後は相続や商業登記など幅広い業務に携わっていきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
夏といえばなんでしょうか。花火を想像した方もいらっしゃることでしょう。今年の夏は、中止続きだった地元の花火大会も開催されたそうです。でもどうして夏=花火なのでしょう。別に春でも秋でも冬でも花火はできるのになあ、とふと思ってしまいました。冬の花火…は空気が乾燥していて危険ですかね。では、春と秋はどうでしょうか。桜×花火、紅葉×花火。我ながら良さそうではないでしょうか。ただ、問題点がひとつ。春と秋にも花火は売っているのかということです。(丸谷)
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。