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コロナの今、遺言で家族に何ができるか。

新型コロナウイルスによる報道が連日続き、それぞれ不安な毎日を送られているかと思います。

新型コロナウイルスの影響で、お亡くなりになられた方々には、ご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆さまに対しお悔やみを申し上げます。

1.当法人の新型コロナウイルスの感染症対応について

当法人では、新型コロナウイルスの感染症対応として、以下のことをしております。

① 感染防止策の徹底

感染、感染疑い、発熱などなど体調不良の場合事務所への連絡を徹底。

常時マスク着用、手洗い、手指消毒の義務化

お客様との面談時はもちろんのこと、日ごろからスタッフ一同マスクを着用させていただいております。

② 御来客終了時、机上及びドアノブなどのアルコール消毒

また通常の清掃に加え、執務室なども適宜アルコール消毒を徹底しております。

③ 不要不急の外出自粛(緊急事態宣言などが出された場合の周知徹底)

なるべく不要不急の外出を制限しており、事務所のスタッフ全員で自粛を心がけております。

④ 感染地域への出張制限

出張制限を設けており、テレビ会議での面談や打ち合わせに切り替えて対応しております。

⑤ 訪問レスでの面談を実施!

当事務所ではテレビ会議や電話相談を期間限定で実施しております。

2.遺言の相談が増加

テレビで見ていた芸能人もお亡くなりになり、身近に感染者がいなかった方も、新型コロナウイルスの怖さを感じるようになったのではないでしょうか。

なかでも、80代以上の感染者の死亡率は11%を超えているようです。(4月19日時点厚生労働省まとめより)

当法人でも、最近、「遺言」に関する相談が増えてきました。

「遺言」と聞くと、「こんな時に不謹慎な・・。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。すごく後ろ向きなイメージを持たれる方もいらっしゃいます。

しかし、私は、遺言を書いて、とてもスッキリし、安心して、残りの人生を生きている方をたくさん見てきました。

遺言は、決して後ろ向きのものでは無く、自分も周りの人も幸せにする前向きなものです。

「死」というのは、誰にも訪れるものであり、いつ訪れるかも分かりません。

新型コロナウイルスだからという話では無く、本当は、誰でもいつかは自分の死について考えないといけないことだと思います。

3.遺言は誰のために書くもの?

これを1つのきっかけとして、「今、自分が亡くなったら遺された人はどうなるのだろう。」と真剣に考えてみてください。

もちろん悲しい、寂しい、辛い・・・

でも、思い出に浸るのも束の間・・・葬儀会社を決め、周りに亡くなったことを知らせ、お通夜、お葬式、そうしている間に、49日が過ぎ、いずれ相続の手続きを始めることになります。

どこに何があるのか遺された人たちは分かりますか?困りませんか?

財産を分けるにあたって、遺された人たちは揉めませんか?絶対に揉めないと言えますか?

私は、「遺言を書いておけば揉めずに済んだのに・・。」「どうしてもっと早く相談に来てくれなかったのだろう。」と思うお客様を何度も見てきました。

亡くなってからでは、専門家でも出来ることは限られており、辛いですが、一緒に悲しい思いをするしかありません。

遺言は、もちろん亡くなってからは書けませんし、認知症になってしまっても書くことは出来ません。(判断能力が無くなるため)

まだまだ元気だと思ううちに、「自分のため」ではなく、「遺された人のため」に遺言を含めた生前対策を考えて頂きたいと思います。

4.今すぐ出来る4つの生前対策

では、具体的に何から始めれば良いのか?

誰でも今すぐ出来るこの4つから始めましょう。

①自分の財産を把握する。

自分の財産、すべて把握していますか?まずはここから始めますが、これが1番重要です。

相続財産(相続人が引き継ぐ財産)には以下のようなものがあります。

プラス財産

不動産(土地・建物・畑・山林など)、金融資産(現金、預貯金、株式、国債など)、動産(車、家財、骨とう品、宝石など)、その他(ゴルフ会員権、著作権、特許権など)

マイナス財産

借金、保証債務、未払いの所得税・住民税・固定資産税など

不動産であれば、登記済権利証や登記簿謄本、法務局や司法書士事務所でも自分が持っている不動産を確認することが出来ます。預貯金は、通帳やキャッシュカード、株式は、証券会社から送られてくる取引残高報告書などで確認出来ます。

②財産一覧表のようなものを作る。

1で財産を把握したら、一覧表のようなものを作りましょう。簡単にメモ書き程度でも結構です。遺された人からよく聞くのが、「どこに何があるのか分からない。」「どんな財産があるのか分からない。」「探すのが大変。」です。家探しのようなことをしなければならず、後からどんどん出てくると手続きもより大変になります。

財産一覧のようなものを作成し、箱かファイルにしまっておく。そして、「大切なものはここに入っているよ。」と周りに伝えておく。すると、万が一何かあった時でも、家族は言われたところを調べるだけで済むので、精神的にとても楽です。

それに、書いて見えるようにすることで、自分自身の頭の中を整理することが出来ますし、次のステップ3、4も考えやすくなります。

③自分の財産をどう引き継いで欲しいのか考える。

2で作成した一覧表を見ながら、どの財産を誰に引き継いで欲しいのか考えましょう。自宅は長男?その代わり預金の〇〇円は二男?それとも、すべてを現金化して、みんなで分けて欲しい?お世話になったあの人に〇〇円は渡して欲しい?これは本当に千差万別、人によって違います。そして、答えはありません。

中には、「遺された人みんなで考えてくれたら良いよ。」という方もいらっしゃいます。すると、相続人みんなでどう分けるのか話し合うことになります。お金のことで家族が揉めると、元には戻れないことがあります。自分の家族は絶対大丈夫と言えますか?財産は少ない方が揉めるという統計も出ています。じっくり考えましょう。

④遺言など生前対策は必要ないか考える。

3で考えたことを実現するために生前対策が必要か考えましょう。具体的に、この不動産は〇〇にあげたい。などがあれば遺言を書く必要があります。ただ、生前に贈与をした方が良い場合もあります。他には、保険の活用や、売却、処分、任意後見や家族信託といった生前対策もあります。これもその人によって違うので、相続の専門家(司法書士や税理士など)に相談し、家族も含めて一緒に考えていくのが、1番安心出来る方法です。専門家に相談する唯一のデメリットは費用ですが、きちんとした対策をすることで、遺された人が揉めず、さらに手続き自体も楽になるのであれば、支払う価値があると考える方もいらっしゃいます。

当法人では、事前に費用の説明もきちんとさせて頂き、それをご了承頂いた上で、ご依頼頂いておりますので、安心してご相談ください。

 

5.エンディングノートの使い方

上記「4.今すぐ出来る4つの生前対策」の「2.財産一覧表のようなものを作る。」でお話したことは、エンディングノートに書くことも出来ます。エンディングノートは、当法人でも「セレモニーノート」としてお客様にお渡ししていますし、市販のものもたくさん販売されています。書いてある項目はそれぞれ違いますが、主に「家族・友人などの連絡先、財産一覧、家族へのメッセージ、葬儀について」などがあります。エンディングノートのメリット・デメリットは、以下のようなことがあります。

エンディングノートのメリット・デメリット

メリット

デメリット

・書式や内容にこだわらず自由に色々なことが書ける。

・手軽に書くことが出来る。

・遺言書のような法的効力が無い。

エンディングノートは、自由に書くことが出来るので、家族や知人に想いが届きやすいメリットがある一方、最大のデメリットは、法的な効力が無いことです。

例えば、エンディングノートに「自宅は長男に引き継いで欲しい。」と書いたとしても、そのエンディングノートを根拠に自宅を長男に名義変更することは出来ません。自宅を長男に名義変更する場合は、通常通り相続人全員の印鑑が必要になります。

それに引き換え、遺言書に「自宅を長男に相続させる。」と書いた場合は、相続人全員の協力は必要無く、長男に名義変更することが出来ます。

エンディングノートだけを遺してしまうと、法的効力は無く、気持ちだけが残ってしまうので、書いた人の気持ちとは逆に、遺された人が揉める原因になることも多いです。

よって、エンディングノートを書く場合は、一緒に遺言書も遺す必要があるのかを検討しましょう。

 

遺言の種類や内容についてはこちら>>

家族信託についてはこちら>>

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

江邉 慶子

保有資格

司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士

専門分野

相続 遺言 生前対策 家族信託

経歴

大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。


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