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シーファースト通心Vol.38『 安心するのはまだ早い?~相続放棄、その後のお話~  』

  今月のまめ知識 『 安心するのはまだ早い?~相続放棄、その後のお話~  』

相続放棄は、主に被相続人(亡くなられた方)に多額の債務や古家など『負の遺産』が多い場合に行われる相続手続ですが、放棄したからと言って完全に手放しできない場合があります。
不動産については、管理責任などを負わなければいけないことがあるからです。
今号では、民法改正により従前と取扱いが変わった部分と併せて、管理責任について解説いたします。

◎相続放棄をしても残る管理責任

亡くなられた方の法定相続人であった場合でも、正式に家庭裁判所で相続放棄が受理されると、債権者など第三者に対して、「法的に相続人でない」と主張することができます。しかし、民法には、相続放棄した者に管理責任を規定した条文が存在します。

 

改正前 民法940条第1項

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

「相続放棄をしたとしても、次順位の相続人や相続財産清算人などに相続財産を引き渡すまでは、相続財産の管理を継続しなければいけない」と解釈されます。

ここで問題になるのが不動産です。

相続財産の引渡しを終えるまで、固定資産税の支払い義務の発生やその不動産が原因で失火や建物の倒壊により近隣に損害を与えた場合の損害賠償責任を問われる可能性があるのです。

この管理責任については、内容が曖昧で分かりにくいと国民から批判を受けてきた背景もあり、今回の民法改正で内容が明確化されることとなりました。

改正後 民法940条第1項


相続の放棄をした者は、その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は第九百五十二条第一項の相続財産の清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない。

 

◎変更点のポイント

 

改正前

相続の放棄をした者は、一律で相続財産の管理責任を負うとされており、内容も曖昧…

改正後

相続の放棄をした者は、相続財産を現に占有している場合、保存義務(管理責任)を負うと規定された。

現に占有している
…配偶者や子など被相続人と同居していた相続人等、相続放棄をする時点で不動産を占有している場合
保存義務を負う
例えば多額の借金を回避するため、やむなく居住していた家を出たにもかかわらず、相続財産清算人等に相続財産を引き渡すまでは、現状維持できるように管理しなければいけない。

現に占有していない
…兄弟姉妹や甥姪等など被相続人と同居していなかった相続人等

保存義務を負わない

 

◎管理責任から完全に解放されるには?

家庭裁判所へ相続財産清算人選任の申し立てをする

民法改正前からある制度ですが、管理責任から解放される一番の方法となります。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ申し立てをすれば、裁判所が相続財産清算人を選任します。(ほとんどの場合は弁護士が選任されます)

ただし、この申し立ては予納金(清算人となる弁護士の報酬に充てられる)を納めることが条件!

被相続人の遺産に潤沢な金融資産があれば、予納金なしで清算人が選任されることもありますが、遺産が不動産のみのような場合、数十万円~100万円近くの予納金を申立人側で用意する必要があります。

せっかく相続放棄をしても、最低数十万円もの予納金を負担しないと保存義務から解放されないとすれば、相続財産清算人選任の申し立てをすることはなかなか現実としては期待できないでしょう。

そこで民法改正により、もう一つの選択肢として創設されたのが

所有者不明土地(建物)管理人申立制度

相続財産清算人と似たような制度にはなりますが、こちらは、被相続人遺産全ての管理処分を目的とするものではなく、問題のある不動産のみの管理を目的とした管理人制度となります。

相続財産清算人制度との類似点

・利害関係人が裁判所に申立てする必要がある
・予納金を収める必要がある

相続財産清算人制度との相違点

・予納金の負担額が比較的少額になると言われている (問題のある不動産のみの管理にとどまるため、管理人の責任の範囲は、登記名義人の財産全般に及ばない分比較的重くなりにくいと考えられるため)
・申立先は不動産の所在地を管轄する地方裁判所

相続放棄をして、完全に責任をまぬがれるための選択肢が増えたことは喜ばしいことです。
相続放棄をしたいけど、被相続人名義の不動産の管理責任について不安に思っている方、あるいは期限内に手続きをするのをうっかり忘れてしまった方も、ぜひ一度専門家にご相談ください。

 

 

セミナー開催情報

11月11日(土) 13時~司法書士・税理士による相続合同セミナーを開催します!

今回のセミナーは、法人様向け・個人様向けの2部構成となります。テーマは1部が「事業承継税制」、2部が「相続・遺言・登記義務化」及び「税改正をふまえた相続税対策」の予定となっております。詳細については、後日ホームページにアップいたします!

開催場所:
☆司法書士法人C-first 堺事務所
堺市堺区南花田口町2-3-1 堺東高橋ビル
(南海高野線「堺東」駅 徒歩1分)
電話・ビデオ電話での相談も可能

 

 

ウエちゃんのトリビア たくさんの昭和町

 

大阪市阿倍野区、泉大津市、吹田市、東大阪市、富田林市、堺市西区には昭和町があります(堺は浜寺昭和町ですが)。大阪府の中に6つも昭和町があるなんて大阪はなんて昭和好きなんだ。と思われるかもしれませんが実は昭和町という町名は日本全国に80以上あります。特に多いのは愛知県で8つもの昭和町があり、名古屋市には昭和区があります。元号を基に決まった地名は珍しくなく、明治町、大正町、平成町も存在します。令和町はまだないのですが、東京都大田区の令和島や山口市の小郡令和という町名がすでにあります。元号を使った町名が多い理由はわかりませんが町名はアンケートや公募で選ばれる事も多いので日本人の心には元号にポジティブなイメージがあることは間違いありません。

 

 

スタッフ紹介

昨年9月から岸和田事務所に在籍しております、石田真由と申します。
主に相続や生前対策等を担当しており、依頼者の方の力になれるよう、日々自己研鑽に努めております!
 
 趣味は筋トレで、主に広背筋と大殿筋を鍛えております!食べることが大好きなので、気にせずに好きなものを食べるためにも、筋トレを頑張ってます。 鍛え始めて5年くらい経ちますが、体の変化が面白く、
気分転換にもなるので、自分がおばあちゃんになっても続けると
思います。 最近は、肩を鍛えることにも興味が出てきたので、
取り入れようかと検討中です!

 

編集後記

まだまだ残暑厳しいですが、暦のうえでは秋。スポーツの秋と称して、先日家族で関西サイクルスポーツセンターへ足を運びました。昭和49年に開業した施設、一世代前に行かれた方も多いのでは。
私自身も子どもの頃に訪れて以来でしたが、自転車を使ったアトラクションに久々に白熱しました。
しかし遅れてくる筋肉痛に体力のなさを実感…。過ごしやすくなるこれから、秋本番に向けて体力をつけておきたいものです。(森)

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

江邉 慶子

保有資格

司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士

専門分野

相続 遺言 生前対策 家族信託

経歴

大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。


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    突然の相続問題に何が必要なのかすらも良くわかっていなかった。

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