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【家族信託】売買の契約書はどう作る?

 皆様、こんにちは!岸和田事務所で家族信託を担当している 司法書士 橋本徹 です。
 今回は、家族信託を利用しているお客様が信託されたお金で不動産の購入を希望しているというケースについて「売買契約書はどうなるの?」という疑問にお答えしたいと思います。

 まず、「家族信託」について既にご存知の方も多いとは思いますが簡単に説明させていただくと、
 ① 自身(委託者)の財産を
 ② 判断能力が低下する前の元気なうちに
 ③ 信頼できる家族(受託者)に託しましょう
 という制度で、主に高齢者の認知症対策として注目されている財産管理の仕組みです。

 この家族信託を利用することで、ご本人の判断能力の有無に関係なくご家族の判断で信託された不動産の売却や、信託されたお金を使って不動産を購入することも可能になります。

 そこで、今回のテーマです。
 不動産の購入希望者(息子B)が「資金は父Aから信託されたお金があるので、現金で一括で支払います。」と言ってきた場合です。皆様の中には「えつ!信託?」と一瞬驚いた後、「売買契約書には何か特別な記載はいるの?」って疑問を持たれる方は少なくないのではないでしょうか。

 結論から申し上げると、特別な記載は必要です!
 信託されたお金で購入した不動産はお金が不動産に形を変えただけで信託財産であることに変わりありません。そのため、登記上も信託財産である旨を登記する必要があります。しかし、その法的根拠となる売買契約書が息子B個人で契約しているにもかかわらず登記の際だけ信託財産である旨を登記することはできません。したがって、売買契約が信託に基づくものである法的根拠を明確にしておく必要、つまり、息子B個人として契約したのではなく、父Aの信託受託者Bとして契約したことを対外的に明確にする必要があるのです。

 それでは、具体的にどのような記載が必要か?
 答えは簡単です。契約書の当事者欄に「委託者 A 信託受託者 B」と肩書を記載するだけです。(領収書関係も同様に肩書が必要です。)

【補足】建物を新築する場合
 建築確認申請とそれに伴う建物表題登記には、上記肩書を入れることができないので受託者である息子B個人名義で対応し、所有権保存及び信託の登記をすることで初めて、その建物が信託財産であることが対外的に明記されることになります。
 (この場合でも請負契約書に上記肩書が必要なのは言うまでもありません。)

 皆様、いかがでしたでしょうか?この記事を読まれたことで突然のお客様にも戸惑うことがないよう少しでも家族信託に対する免疫を持っていただければ幸いです。
 まだまだ馴染みの薄い家族信託です。税金関係や登記手続においても取扱いが確立されていない部分もあり、家族信託の利用に消極的な専門家がいるのも事実です。しかし、司法書士法人C-firstは積極的に家族信託の普及に取り組んでおりますので、少しでも家族信託に興味やお困りのことがございましたら、お気軽に司法書士法人C-firstまでお問合せください。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

橋本 徹

保有資格

司法書士 家族信託専門士

専門分野

家族信託 相続 遺言 生前対策 債務整理 

経歴

システムエンジニアから司法書士に転職。理詰めの思考と裏腹に柔らかな物腰でわかりやすく丁寧な説明が持ち味。平成29年から家族信託専門士としてセミナー講師を務めるなど、家族信託の普及に力をいれている。


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