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古い時代の抵当権の抹消方法!休眠担保権って?

休眠担保権とは

相続等で取得した不動産に、古い時代の抵当権が設定されていませんか?しかも、その抵当権者の会社や個人とまったく連絡が取れないということはありませんか?
 長年にわたり抹消すること無く放置していた抵当権等を休眠担保権といいますが、この休眠担保権の抹消はかなり面倒な手続きです。というのも、抵当権の登記済みが無い、或いは抵当権者が清算決了あるいは死亡していて登記簿上の抵当権者から解除証書等が発行されない、という事態が考えられるからです。
 しかも、抹消しないと売却は困難です。
 そこで以下、抵当権者等が会社の場合を想定して休眠担保権の抹消手続きを説明します。

休眠担保権の抹消手続き

まず、法務局で抵当権者の会社の謄本を請求してください。清算決了していない会社であれば、当該会社に連絡を取って、その会社から抵当権の解除証書を発行してもらい抵当権を抹消します。

この場合、たとえ協力してくれなくとも当事者が実存している事に争いが無いことから、裁判手続きにより抹消する事もでき、更には弁済した資料が無くとも時効の援用が比較的容易にできるでしょう。

次に、会社の登記簿が閉鎖されていれば閉鎖登記簿謄本を請求してください。もし、仮に会社の閉鎖登記簿が法務局にない場合、不動産登記法70条により単独で抹消でる場合があります(ただし、弁済した資料がなければ供託の手続きが必要)。

閉鎖謄本はあるが清算結了している場合

では、会社の閉鎖登記簿があり清算決了している場合はどうでしょうか?以下の①から③の方法は既に弁済はしたが抹消の手続きを怠っていた場合を想定しています。 
 ア、まず①最後の(閉鎖登記簿に記載されている) (代表)清算人に連絡して解除証書等の発行などの協力を仰ぐ方法。
     ②(代表)清算人の選任を裁判所に申立て、その清算人の協力を仰ぐ方法。
     ③裁判所に抹消登記手続きを請求しその際特別代理人の選任を申立てる方法があります。
 イ、①の方法については、費用が安いという利点がありますが清算人が協力してくれるか否かがわかりません。
  ②の方法については、費用が高くなります。というのも、会社を代表するということですから、例えば会社が第三者に訴えられた場合その訴訟にも対応する必要があるので、(裁判所に支払うべき)予納金の額が高くつくからです。
  ③の方法については、②の方法よりかは費用が安いですが裁判ですので時間がかかります。

弁済していない場合

そもそも弁済していなければどうするのでしょうか?
  ア、この場合、いきなり上記①から③の方法は使えません。会社の財産が残っているということですから清算事務は終了していません。ですので、会社の清算決了登記を錯誤により抹消し会社の登記簿を新たにおこして(代表)清算人に清算事務として抹消のための協力を仰ぐという方法になります(因みに、上記4⑴のように弁済していた場合、実体法上は会社の債権は存在せず清算事務は既に完了していることから清算決了登記を錯誤で抹消する必要まではない)。
 イ、またそもそも清算決了登記まで行っていない清算中の会社でしたら清算事務として(代表)清算人は債権を回収する義務を負いますから、弁済すれば清算人は協力してくれるでしょう。

破産している場合

では、会社が破産していたらどうなるのでしょうか?
 ⑴会社の破産手続きが開始されると、破産管財人が選任され取締役や清算人の任務は終了します。
 その為、破産手続き中は破産管財人が清算事務にあたりますから破産管財人に協力を求めることになります。
 ⑵では、破産手続きが終了している場合はどうするのでしょうか?
 この場合、たとえ残債権が残っていようとも破産管財人の任務は終了していると考えられていることから破産管財人に協力を求めることはできません。ですので、上記の②や③の手続きが必要ということになります。

まとめ

以上が休眠担保権抹消の簡単なあらましでした。しかし、紙面の関係上かなり簡略化して書いていますので、この類型に当てはまらない事例もあります。

また、休眠担保権にありがちな問題もあります。例えば、抵当権等の登記済みが無い場合どうすべきか?弁済した証拠となるものが無い場合どうすべきか?時効の援用でも起算日を何時にするのか?という問題もあります。

更に、個人が抵当権者等であった場合、もっと話がややこしくなります。例えば、行方不明をいかにして疎明すべきか(市役所が不在住証明書をだしてくれるのか)?死亡していた場合どうするのか?等の数々の問題をクリアーしなければなりません。

加えて、前述のごとく裁判所の手続きを通さないと手続きが進まない場合もありますので、煩雑な手続きが必要となる場合が多いです。
休眠担保権が出てきた場合には、専門知識が無いとなかなか対応できないので、その場合はぜひ登記の専門家集団たるC‐firstにご相談ください。可能な限り迅速・適切に対応させていただきます。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

代表社員

山内 浩

保有資格

代表社員司法書士 家族信託専門士

専門分野

家族信託 相続 遺言 生前対策

経歴

司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。


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