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相続人じゃないのに相続財産を受け取れる!特別寄与のご紹介

こんにちは。
岸和田事務所の司法書士 飴野圭一です。
今回は「一生懸命介護したのに相続人で無いために相続財産を1円ももらえないという理不尽な思いをしなくても良くなった」というお話をしたいと思います。

例えばAさん(認知症も進み、病気がちでご主人は既に他界)には、子供B・Cがおり、Bさんの家族とAさんが同居していました。またBさんには妻Dさんがおり、DさんはAさんのお世話をほとんど一人で担っていたとします。この状況でAさんがお亡くなりになった場合、従来の法律では相続財産はBCの2人が受け取り、Dさんは1円も受け取れませんでした。

相続財産を譲り受けることができるのは、相続人です。
誰が相続人になるかは民法で定められています。
そしてどんなに故人を介護し、故人に尽くし、故人から感謝されていても
遺贈の場合を除き、相続人で無ければ財産をもらうことはできませんでした。
文頭の事例の妻Dさんの気持ちは皆さんも容易に想像できると思います。

特別寄与料とは

そこで2019年7月1日施行された改正民法では、
被相続人の財産の維持、増加について寄与した親族は特別寄与料を請求することができるようになりました。
Dさんの苦労が報われるようになったのです!

民法1050条(抜すい)
① 被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした被相続人の親族(相続人、相続の放棄をした者、相続欠格者、廃除者を除く。)は、相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することができる。

では、どんな人が特別寄与料を請求できるのでしょうか?
特別寄与料を請求できるのは、故人に対し
① 療養看護、その他の労務の提供を無償で提供し、
② ①により故人の財産の維持、増加について貢献した
③ 相続人以外の親族
となっています。

「無償で提供し」とありますが、労務の対価が著しく低ければ、「無償」と考えてもよいと言われています。
介護することで、ヘルパーさんに支払う報酬が減ったのであれば「財産の維持、増加」に貢献したと言えるでしょう。
また、特別寄与料は、相続人が請求することはできません。相続人はもともと扶養義務がありますし、寄与分を相続分に加えることができるという制度が以前からあるからです。

特別寄与料は、どのように決まる?どれくらいもらえる?

特別寄与料を請求したら、当事者間の話し合いで決めることになります。
決まらない場合は、家庭裁判所に決めてもらうよう請求します。

家庭裁判所は、寄与の時期、方法、程度、相続財産の額など
総合的に考慮して決定します。(民法第1050条②)

療養看護の場合は、本人の要介護度に応じた介護報酬基準額に
5割~9割程度の裁量割合を乗じ、これに介護日数を乗じて算出すると言われています。
介護する親族はプロではないので一定の割合が減額されるようです。

具体例を見てみましょう。
介護報酬基準額が1日5,000円で、裁量割合が7割、2年間介護した場合
5,000円×0.7×365日×2=2,555,000円
となります。

ただし、入院中や介護施設に入っていた期間は対象になりません。
また、お見舞いに行って、励ましたなど精神的な行為は、財産の維持、増加に貢献していないのでこれも対象とはなりません。

さらに、特別寄与料には上限があり、相続開始の時の財産から
遺贈の価格を控除した額と定められています。(民法第1050条③)

請求には期限があります!

特別寄与料の決定を家庭裁判所に請求するには
① 相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月
② 相続開始の時から1年
以内にする必要があります。(民法第1050条④)
相続人と話し合いが長引けば請求できなくなることもありますのでご注意ください。

期待するほど譲り受けることはできないかもしれませんが、
せめて労務の対価分は請求できるようになったというところでしょうか。

故人に関わった皆様が、相続財産を残してくれた故人に対し感謝し、
納得できる遺産分割を目指して頂きたいと思っています。
私共C-firstも、そういう遺産分割のお手伝いをさせていただきます。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

飴野圭一

保有資格

司法書士

専門分野

不動産登記

経歴

大阪に本社の企業(メーカー)で営業、総務&法務、人事などの部署をそれぞれ10年弱程度、経験。営業時代は広島市や、松山市への転勤も経験するも心機一転司法書士を目指す。
令和元年に合格。資格を活かした転職をし今に至る。


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