相続分の譲渡を用いて遺産分割協議に参加せず財産の行く先を指定したケース
ご利用サービス
相続丸ごとサポート
登場人物
相談者
Aさん
被相続人
Bさん
相続人(計4人)
Aさん
Cさん
Dさん
Eさん
相談内容
Aさんが、「未婚の叔母が亡くなった。相続人の中に法定相続分通りに遺産を分けることをためらう相手がいる。どうしたらいいか教えてほしい。」と相談にいらっしゃいました。
Bさんには配偶者と子供がいなかったため、相続人はBさんの存命の兄弟2人と、すでに亡くなっている兄弟の子供(Bさんの甥、姪)の4人。AさんはBさんの姪にあたります。
Bさんの財産は、マンションと多額の預貯金でした。
Aさんに事情をお聞きすると、そのようなお考えに至られた経緯は次のとおりでした。
Bさんの晩年のお世話は、近所に住むAさんとCさんが積極的に分担し行っていました。
しかしながら、相続人の内2人の方(Bさんの弟Dさんと、甥のEさん)は、普段から親戚づきあいを絶ち、ご生前のBさんと関わりを持たないだけでなく、Bさんのご葬儀にも今までのほかのご親戚のご葬儀にも参列されていませんでした。
また、ご生前のBさんご自身も冗談めかしながら「私の財産はお世話してくれたAとCにあげるからね。DとEには少しで良いよ」と言われていたそうです(遺言はありません)。
Aさんが、このような関係のお2人と「差」をつけたい、とお考えになるのは当然のことかもしれません。
当所からAさんに、原則は、疎遠な関係であってもDさんEさんのお2人も相続人であるため、含めて遺産分割協議を行う必要があることをご説明したうえで、ほかの方法を執ることができることもご提案しました。
それは「相続分の譲渡」です。
この度のケースでは、法定相続分より少ない金額をお2人に提示し、納得いただければお2人の相続分をAさん又はCさんに譲渡していただくことで、お2人は遺産分割協議から外れることとなります(つまり、遺産分割協議に参加するのはAさんとCさんの2名です)。
もちろん、DさんとEさんの反対があればかないません。そのため、Aさんから、DさんEさんお2人に事前にBさんのご希望を説明し了解を得る、とお申し出いただきました。
このような手続きの流れと予想されるすべてのリスクをご説明差し上げ、弊所の「相続手続き丸ごとサポート」を依頼いただくことになりました。
解決までの流れ
受任後、戸籍と附票を収集し、Bさんの財産目録を作成しました。そして、まずはAさんCさんお2人の意思を確認し、弊所からDさんとEさんにお手紙を送付しました。
お手紙の内容には細心の注意をはらいます。
その後、Aさんの事前の説明も功を奏し、DさんとEさん両方から、「相続分をAさんに譲渡することに同意する」と書面を返送いただきました。
ここからは、残った相続人2名での分割協議をとりまとめます。
Bさんの遺産総額からDさんEさんへ支払う譲渡金を除いた預貯金と不動産を、相続人2人で分割協議を行い、不動産の名義変更(相続登記)、預貯金の解約、譲渡金のお支払いそして相続人2人へのお支払い、と一連の手続きをすべて弊所で承りスムーズに完了しました。
Aさんは、生前のBさんの希望に沿った分割ができた、大変に喜んでくださいました。
まとめ
今回は、相続分をほかの相続人に譲渡していただき、分割協議にはBさんの望んでいた相続人だけが参加する、ということにできました。
もしBさんが遺言書を書いてくださっていれば多くの手続きを省くことができた可能性があります。遺言書があれば、遺言執行者を定める事で疎遠な相続人と協議する事無く手続きを進める事ができるからです。
子供がいない方は、相続人が兄弟や甥姪にまで広がり、トラブルが起こる可能性も高くなります。遺言書の作成をご検討頂くのが良いかと思います。
弊所では、遺言作成のサポートも承っております。少しでもご不安なことがおありの方は、是非C-firstにご相談ください。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。