田畑の相続のため農業委員会に届け出をしたケース
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相続丸ごとサポート
登場人物
被相続人
母
父
相続人
Aさん(相談者)
兄(Bさん)
妹の息子(CさんD)さん
相談内容
「15年前に亡くなった母の名義のままとなっていた不動産の相続手続きを行いたい」と、Aさんが相談にいらっしゃいました。
物件は遠方にある山林や田畑等の土地で、相続手続きが済んでいませんでした。
Aさんは最近父が亡くなったことで、不動産の相続手続きが必要だと感じ、また登記義務化に備えたいと考えていました。
相続人は相談者のAさん、Aさんの兄(Bさん)、そして亡くなった妹の息子2名(Cさん、Dさん)の計4名。
AさんはCさんDさんと面識がありません。
そして不動産の地目が田畑や山林の土地を相続する場合、相続登記以外に関係各所への届出が必要です。
田畑の場合、農業委員会への届出が必要であり、山林の場合は市町村等への所有者変更の届出が必要です。
ただし、実際の状況によっては届出が不要な場合もあるため、事前に確認が必要です。
解決までの流れ
1. 面識のない相続人への連絡
まずはCさんDさんに手続きの協力を依頼するため、手紙を送りました。
手紙には手続きの必要性や義務化の背景、協力が不可欠であることを丁寧に説明しました。
丁寧なアプローチしたためか、協力を快諾してくださいました。これにより、遺産分割協議が整いました。
2. 相続登記の実施
相続人全員の同意を得た後、相続登記を行いました。
相続登記は、不動産の所有権を正式に相続人に移す手続きです。これにより、名義を泣き母からAさんに変更し、15年の放置していた相続登記を完了しました。
3. 森林届の提出
次に、山林に関して役所の担当部署に森林届を提出しました。
森林届は、森林の所有者が変更になった場合に必要となる手続きで、行政機関に新しい所有者を正式に通知しました。
4. 農地届出の実施
田畑に関しては、農業委員会に農地届出を行いました。
これは農地法第3条の3第1項に基づく届出で、農地の所有者が変わった場合に必要な手続きです。
5. 古い抵当権の抹消手続き
最後に、古い抵当権がついた土地の抹消手続きを行いました。
この抵当権は何十年も前に登記されたもので、現在では存在しない金融機関によって設定されていました。
金融機関はその後、合併や承継を繰り返し、5回の名称変更を経ていました。
私たちは調査を行い、当該金融機関を特定するための情報を集めました。
最終的には、銀行側から「古すぎてデータは残っていないが、登記簿上で前身の銀行が債権者であることは確かなので抹消手続きに協力する」との返答を得ることができました。
その条件として、銀行の委任状と解除証書を作成することが求められました。
何度か電話や郵送でのやり取りを経て、必要な書類が揃い、抹消登記申請を行いました。
これで全ての手続きが無事に完了し、古い抵当権の抹消も含め、相続手続きは無事に終了しました。
まとめ
今回のケースでは、15年前の相続登記を行いました。
相続登記を放置していると相続人が亡くなり、その子どもが相続人になることで人数が増えてしまいます。今回は妹さんが亡くなったため面識のないCさんDさんと相続財産について話し合う必要が出てきました。
今回はCさんDさんが協力的なのでスムーズでしたが協力してくれない相続人がいると交渉する必要が出てきます。
そして古い抵当権の抹消という課題もありました。
しかし、丁寧な対応と法的手続きを進めることで、全ての問題を解決することができました。
相続手続きは複雑であるため、専門家のサポートを受けることがおススメです。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。