第三順位まで相続放棄を繰り返し配偶者が全て相続したケース
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登場人物
被相続人
Bさん(Aさんの夫)
相続人
Aさん(Bさんの妻)
Cさん(前妻との子)
Dさん(前妻との子)
Bさんの両親等(第二順位の相続人)
Bさんの兄弟姉妹甥姪(第三順位の相続人)
相談内容
「主人(Bさん)が亡くなり、どうしたらいいかわからない」とAさんが相談に来られました。
AさんとBさんの間には子供がおらず、Bさんは前妻との間に二人の子供(Cさん、Dさん)がいました。
相続財産にはAさんが住む家と預金がありましたが、多額の借金もありました。
自営業だったBさんは事業資金として多額の借り入れがあったのです。
しかし、Aさんによるとこの借金は団信保険で消滅するとの事でした。
団信保険とは借主が死亡などで返済できない状態になった時に残っている借金を肩代わりしてくれる保険の事です。
そして相続人は配偶者であるAさんとBさんの実子であるCさん、Dさんの全部で3人です。
Aさんとしては自分の住んでいる家は自分の名義に変え、預貯金は法定相続分通りに分けたいと考えていました。
しかしAさんはCさんDさんと面識はあるものの、相続の話をする事を不安に感じていました。
そこでシーファースト相続相談窓口が間に入ることで、相続人同士が直接話をしなくても遺産分割を進められることをご説明し、案件に取り掛かりました。
解決までの流れ
CさんとDさんに連絡を取ったところAさんの希望通り、家の名義をAさんにして預金を法定相続分で分ける事に快諾頂けました。
しかし、手続きを進めいる最中にAさんの思い違いが発覚します。
加入していた保険は団信保険ではなかったため借金が消滅する事はなかったのです。
そのため多額の借金も相続財産に含まれてしまい、その額は家と預金の金額を上回ることがわかりました。
これでは相続手続きをしても借金を背負う事になってしまいます。
この事情をAさんCさんDさんに伝えると、CさんとDさんは相続放棄を選択しました。
しかし、Aさんはこの借金の連帯保証人であったため、相続放棄をしたとしても借金は残ります。
そこでAさんが家、預貯金、借金のすべてを相続することに決めました。
しかし、これも簡単にはできません。
CさんとDさんが相続放棄をする事で別の順位の相続人も相続放棄をする必要があるからです。
相続権には順位があり、CさんとDさんが相続放棄をすると、次にBさんの両親が相続人となります。
その場合、両親が相続放棄をするかすでに亡くなっていると、次はBさんの兄弟姉妹や甥姪に相続権が移ります。
つまり、Aさんがすべて相続するには、Bさんの両親と兄弟姉妹、甥姪全員に相続放棄をしてもらう必要があります。
全員を相続放棄してAさんが相続するためには以下のような手続きの流れになります。
・第二順位と第三順位の戸籍集め
・第二順位と第三順位の相続人全員に相続放棄に同意してもらい、書類に押印を頂く
・CさんとDさんの相続放棄が完了した事を確認し、第二順位の相続人の相続放棄申述書を家庭裁判所に提出
・第二順位の放棄が完了したら、第三順位の相続人の相続放棄申述書を家庭裁判所に提出
・相続放棄の審判書を取得して不動産や預貯金をAさんに相続
これには時間がかかります。
戸籍集めだけで1ヶ月以上、相続放棄申述書の準備に1ヶ月、裁判所に提出してからの完了までにさらに1ヶ月かかり、さらに相続放棄申述書の提出は順位ごとでしかまとめて出せないため3度に分けて提出する必要があります。
Aさんにこれらを説明し、手続きを開始しました。
幸いな事に相続人全員と連絡が付き、全員がスムーズに相続放棄に同意して頂く事ができました。
理由のひとつとして、相続放棄をしなければ、借金を背負うことになりますし、3ヶ月の期限を超える前に決めなければならないため迅速に決める必要があるといった事情がありました。
そして、相続放棄申述書を準備し相続放棄申述書を家庭裁判所に提出し、Aさん以外の相続人全員が相続放棄を完了しました。
これによりAさんが単独の相続人として確定し、不動産と預貯金の手続きを行い、今回の案件は完了しました。
まとめ
遺産整理は単に財産を引き継ぐだけではなく、遺産の中身によって誰が何を引き継ぐのが最適かを考える必要があります。
法定相続分で分ける事が最適ではないことも多いので、専門家に相談することをおすすめします。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
山﨑 聡
- 保有資格
司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 成年後見
- 経歴
若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。