認知された非嫡出子がいた事で旧戸籍法を考慮した相続人の証明をしたケース
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相続登記サポート
登場人物
被相続人
父
相続人
Aさん
Bさん(非嫡出子)
Cさん(Aさんの母)
その他
Dさん(Bさんの母)
相談内容
「数年前に途中まで進めた父の土地の相続登記を完了させたい」と、Aさんが相談に来られました。
Aさんがお持ちの戸籍を確認したところ、相続人は妻(Cさん)、長男(Aさん)、そして非嫡出子(Bさん)の3人でした。
Bさんは未婚の母(Dさん)から生まれ、父によって認知されていました。
調査を進めると、父の財産は土地のみで、すでに遺産分割協議書が作成されていました。
この協議書には母とAさんの押印があり、Bさんは相続放棄を選択していました。
初見ではすぐに相続登記が進められるように見えましたが、実はさらなる戸籍の収集が必要でした。
相続人確定のため、Dさんの戸籍を収集することが必須でした。
今ある戸籍だけでは、父に他の非嫡出子がいる可能性を完全に排除できなかったためです。
Bさんは旧戸籍法(明治31年~昭和22年)の期間中に生まれ、認知されていましたが、もし、この期間に生まれた非嫡出子で、父から認知されたが、当時の父の戸籍の筆頭者により、入籍を拒否された場合、認知された非嫡出子は、母の戸籍に入ります(母の筆頭者にも入籍を拒否される可能性もありますが)。
入籍を拒否されてしまうと、父と法的な親子関係があるにも関わらず、父の生まれてから亡くなるまでの間の戸籍に、非嫡出子の情報は一切載ってきません。つまり、非嫡出子には父の相続権があるにも関わらず、父の戸籍の調査をするだけでは、その存在を確認できず、相続人から漏れてしまう可能性があります。
今回は、父の生まれてから亡くなるまでの戸籍の中に、認知された非嫡出子Bが載っていました。
Bの戸籍の母の欄に、母の本籍地や氏名が記載されていたことで、婚姻していない女性との間に、被相続人の認知した子供が、B以外の他にもいる可能性があることが出てきました。
父の生まれてから亡くなるまでの戸籍の中に、認知された非嫡出子が載っていなければ、婚姻していない女性の情報が(そういった女性がいたかどうかも)わからないため、調べようがありません。
しかし、今回のように、被相続人の認知した非嫡出子がいる可能性が判明した場合は(戸籍を追って調査できる場合は)、婚姻していない女性の戸籍を調査し、父の戸籍に入らず、母の戸籍に入った、相続権のある子がいないかどうかを、調べないといけません。
このためDさんの戸籍収集が必要であることと、万が一、他に相続人がいた場合は、すでに作成している遺産分割協議書は使えず、新たに判明した相続人と遺産分割の話合いをする必要がある事をAさんに伝えました。
Aさんから了解を得たので早速手続きに取り掛かりました。
解決までの流れ
早速Dさんの戸籍を取得し調べた結果、他に子はいないことが確認され、相続人は当初の予定通り、Aさん、Bさん、Cさんの3人であることが確定しました。
これにより、すでに作成されていた遺産分割協議書をそのまま使用することができました。
登記申請書を作成し、その他すべての必要書類を法務局に提出し、相続登記は無事に完了しました。
まとめ
この事例は、旧戸籍法による認知の複雑さが原因でした。
旧戸籍法の時代に生まれた子がいた場合、認知されていても、親の戸籍には記載されてこないという事があり、さらに昔は、は、男児でなければ戸籍に入れたくないなどの考えを持った方もいたようです。
この年代に出生した非嫡出子が確認できれば、その戸籍の情報からさらに戸籍を追える限り追って相続人が他にいないことを証明しなければなりません。
このような複雑なケースでは、専門家に相談する事がオススメです。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
石田 真由
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策
- 経歴
大学在学中に民法の面白さにはまり司法書士を目指す。司法書士試験合格後は、複数の事務所で司法書士業務全般に携わる。C-firstに入所後は、主に相続や、生前対策分野を担当し、依頼者に貢献できるよう、日々研鑽している。