遺言書に書かれていない多額の財産があったケース
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登場人物
被相続人
姉
相続人
Aさん(相談者)
Aさんの妹(Bさん)
Aさんの姪(Cさん)
姉の夫(Dさん)
相談内容
「姉が遺言書を遺して亡くなった。遺言書に書かれていない財産があるので相談したい。」とAさんからご連絡がありました。
相続人は4人でAさん(妹)、Bさん(もう一人の妹)、Cさん(亡き兄の娘)、そしてDさん(姉の夫)です。
今回の相談にはAさんとDさんが同席くださいました。
姉の遺言書は自筆証書遺言としての要件を満たしており効力があります。
その中にはAさんとCさんにはそれぞれ500万円が遺され、Bさんには何も遺されないことが明記されていました。
Bさんに不利な内容ではありますが、生前は姉とBさんの仲が悪く、Bさん本人もこの内容には納得しているとの事でした。
またBさんは妹なので遺留分もありません。
さらにBさんは生活保護費を受給しているため財産を受け取らない事が妥当でした。
生活保護費を受給していても遺産は相続できますが、その額が大きいと経済的な保護が不要になったみなされ、生活保護費を停止または廃止される可能性があります。
この事態を回避するするためは相続放棄の手続きをするのが確実ですが今回は遺言書に何も相続させないと書かれているのでその必要はありませんでした。
しかしこの遺言書の内容は完全ではありません。
姉の財産は遺言書に記載された1000万円以外にも、多額の預貯金が残されていましたが、これについての記載がなく、またDさんへ何を相続させるかも書かれていません。
遺言書に書かれていない財産の相続手続きには遺産分割協議書を作成しなければ進める事ができません。
遺産分割協議書を作るには「何も渡さない」とされたBさんを除いた3人で分け方を話し合う事になります。
AさんとDさんは、姉は話合いで決めると思っておらず、残った財産はDさんに渡ると思っていたのではないかと考えていました。
そうであれば遺産分割協議書の内容を遺言書に記載された以外の財産をDさんが受け取る事にすれば姉の遺志に沿う分け方になります。
そこでAさんには遺産分割協議書を作って相続手続きを進める事と遺言書を執行する事の二つの手続きが必要である事をお伝えして本案件に取り掛かりました。
解決までの流れ
生活保護受給者の相続ではケースワーカーに連絡を取る事が必須です。
ケースワーカーとは生活保護受給者を支援する公務員です。
もしケースワーカーに連絡をせずに生活保護受給者が相続財産を受け取ると、不正受給とみなされ後に罰金のような形で徴収されてしまう事もあります。
今回は何も受け取らない事をお伝えし、遺言書を確認してもらいました。
その後の必要書類集めはスムーズでした。
戸籍集め、前述の内容で遺産分割協議書を作り、AさんCさんDさんに送付し、実印を押印して頂きました。
揃った書類を銀行に持ち込み預金の解約をして、その財産を相続人に配分して今回の案件を終えたのでした。
まとめ
このケースは、遺言書が不完全な状態でも、相続人全員の考えが一致していたため、トラブルなく手続きを完了できました。
しかし、遺言書が不完全であることがトラブルの原因になることもあります。
遺言書を自作する時の失敗で最も多いのは、遺言書としての要件を満たさずに効力を持たない遺言書になってしまう事です。
この事態は近年始まった遺言書保管制度を利用し法務局で相談する事で防ぐ事ができますが、今回の様に、内容に不足がある場合は対応できません。
不完全な遺言書があるとそれがきっかけでトラブルに発展する可能性もありますので遺言を作る場合は専門家に相談する事をおすすめします。
この記事を担当した専門家
行政書士法人C-first
行政書士
濱田 陽平
- 保有資格
行政書士
- 専門分野
遺言コンサルティング 生前対策コンサルティング 家族信託コンサルティング 相続 成年後見
- 経歴
大学卒業後、アパレル会社で販売員を経験。行政書士合格を機にC-firstへ入所。アパレル経験を活かし、おしゃれな先生として活躍中。