税申告時の協議書の矛盾に気付き贈与税の課税を回避したケース
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相続登記サポート
登場人物
被相続人
Aさんの父
相続人
Aさん(相談者)
Bさん
相談内容
「父が亡くなった。相続不動産は売却するつもりだが相続人が二人いる。二人の共有名義にしてから売却するべきなのか教えてほしい」とAさんが相談にお越しくださいました。
Aさんは1年前に父を亡くしました。
必要Aさんの母はすでに他界していたため相続人はAさんと兄弟のBさんの2人です。
相続財産には土地と家があり、その評価額だけで相続税申告が必要である事がわかりました。
不動産は売却してその売却益を2人で分けるつもりです。
しかし、Bさんは遠方に住んでいるので地元に住むAさんが手続きを進めたいと考えていました。
そのためまずは相続登記で自分1人の名義にしてから売却の手続きを進めたいと考えていました。
その方法に問題がないのか疑問に思い相談に来て下さったのでした。
Aさん単独所有にする場合
Aさん1人の名義にして売却する事に問題はありません。
相続登記には遺産分割協議書という2人で遺産の分け方を話し合った結果の書面が必要です。
その書類に、Aさんの単独所有にして売却し、売却益をBさんと分ける旨を記載すればAさん単独で手続きを進める事ができます。
共有名義のデメリット
もし二人の共有名義にして売却を進めるとなると売却時には、二人の関与が必要になります。
売買契約書等の売却時に必要な書類に、二人とも署名をしなければなりませんし、売却時の、司法書士による本人確認や売却の意思確認もAさんとBさんのどちらにもしなければなりません。
相続税申告の状況
その旨をAさんにお伝えしましましたが、もう一つ確認する事があります。
相続の発生から1年が経過しているのであれば相続税申告の期限である10ヵ月を超えています。
もし相続税の申告がまだなら税務署に連絡して急いで申告する必要がありますし、すでに申告済みであるならばその時に遺産分割協議書を作っているはずです。
であれば今回、相続登記で使うために作ろうとしていた遺産分割協議書と内容が食い違っている可能性があります。
Aさんに伺ったところ、相続税申告はすでに済ませているとの事でしたのでその時に使用した遺産分割協議書を探していただきました。
無事に発見されましたが、その内容はやはり食い違っておりAさんとBさんが共有で2分の1ずつ相続する内容となっていました。
そこで、相続登記用に、不動産の名義を、代表でAさんの単独名義にし、売却後、売却代金を二人で2分の1ずつわけるという内容の遺産分割協議書を作って使用しても問題がないのか税理士に確認しました。
すると相続税申告時の遺産分割協議書ではない、作り直した遺産分割協議書を使って相続登記をすると贈与税が課税される可能性があるとの事でした。
こうなると相続税申告の遺産分割協議書と同じくAさんとBさんが2分の1ずつ相続登記をする他ありません。
この旨をAさんにお伝えして、それではお願いしますとの事だったので受任させて頂く事となりました。
解決までの流れ
相続登記には相続税申告で使用した書類の多くを相続登記でも使用する事ができたのでスムーズに進みました。
そして相続登記申請書を作成し必要書類と綴り法務局に申請し、無事に相続登記を終えたのでした。
まとめ
今回のケースでは、相続税申告時に作成された遺産分割協議書が、後の相続登記の手続きに影響を及ぼしました。
最初は単独名義での登記を検討していましたが、既存の遺産分割協議書の内容と食い違っていた為それは叶いませんでした。
しかし相続税申告での遺産分割協議書を使って相続登記を進める事により、贈与税が課税されるリスクを回避する事ができました。
遺産分割協議をやり直すと、贈与税がかかる可能性があります。
もし、今回、相続税申告時の遺産分割協議書(不動産をABが2分の1ずつ取得する)がある事に気付かず、Aさん1人の名義にする遺産分割協議書を作って相続登記してしまうと、BさんからAさんに贈与をしたとみられ、Aさんは贈与税を支払わなければならないことになっていたかもしれません。
この事例からも分かる通り、相続税申告と相続登記は密接に関連しており、一方の手続きが他方に影響を与え得るため、事前の綿密な検討が必要です。
特に、相続人が複数いる場合や、相続財産の管理について複雑な事情がある場合は、専門家と十分な相談を行うことが推奨されます。
このケースでは、Aさんの迅速な対応と、専門家との連携により、スムーズな解決に至りましたが、相続においては予期せぬ事態が発生する可能性もありますので、早期の相談と計画的な手続きが重要です。
その時は税理士と連携し、相続税申告と相続登記をワンストップで行える専門家に相談する事をオススメします。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
石田 真由
- 保有資格
司法書士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策
- 経歴
大学在学中に民法の面白さにはまり司法書士を目指す。司法書士試験合格後は、複数の事務所で司法書士業務全般に携わる。C-firstに入所後は、主に相続や、生前対策分野を担当し、依頼者に貢献できるよう、日々研鑽している。