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相続財産の私道持分を発見してトラブルを未然に防いだケース

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相続登記サポート

登場人物

相談者

Aさん(相続人)

被相続人

Bさん(Aさんの父)

相談内容

「父が他界した。相続登記をお願いしたい」とAさんが相談に来られました。

Aさんに持参していただいた納税通知書を確認させて頂くとAさんの父(Bさん)の名義で土地と建物1筆ずつが記載されていました。

この土地と建物の相続人は実子であるAさんのみですので相続登記としてはシンプルです。
Aさんに相続手続きの流れをご説明して受任させて頂きました。

解決までの流れ

まずは他に相続不動産が無いか確認するために名寄帳を取りました。
名寄帳とは所有者別で不動産の一覧をまとめた物で、各市町村に請求できます。
例えばBさんの名寄帳をA市に請求したとするとA市内でBさんが所有している不動産が全てわかります。

取得した名寄帳を確認するとBさんが所有する土地がもう1筆ある事がわかりました。
この土地は非課税だったため納税通知書に記載されておらず、Aさんはその存在に気づく事ができなかったのでした。

当然この土地も相続財産になりますので相続登記を行う必要があります。

この土地がなんなのかを調べるために14条地図と登記事項証明書を法務局に請求しました。
14条地図とは法務局に備え付けられている精度の高い地図です。

地図と登記事項を確認するとこの土地はBさんの家に隣接する私道で公道に出る前に通行する部分でした。
Bさんはこの私道の5分の1を所有していたのでした。

これは「持ちより道路」や「私道持分」などと呼ばれ、道路に隣接する土地の所有者が共同で所有し通行する部分です。

私道の持分形態には色々あるのですが概ね分割型と共有型のどちらかが多いです。

分割型とは私道持分を隣接する土地の数に分割してそれぞれが一つの土地を所有する方法です。

共有型とは道路は分割せず一つの土地を隣接する土地の所有者で共有する方法です。

今回の土地は分割型で、道路を5分割したうちのひとつがBさんの土地でした。

新たな相続不動産が発覚する事で登記費用が増えてしまう事もありますが今回は費用の負担は全くありません。
というのも、この土地の価格が100万円以下だったため令和3年に改正された登録免許税の免税措置が適用されたからです。

この土地の事と費用が変わらないことをAさんに伝えて、この土地を加えた申請書を作成して法務局に登記申請を行い、無事に受領されたのでした。

まとめ

もしこの道路に気付かずに相続登記を進めてしまうと後に「ローンが組めない」「売却出来ない」「掘削が必要な水道管ガス管の工事が出来ない」という事がおこりかねません。
そうなってから私道持分だけをまた相続登記をしなければならないといった事態になっていた可能性もあります。
納税通知書にはその人の所有物件が全て記載されているわけではなく、あくまで納税義務のある物件だけです。
非課税でも重要な役割を持った土地もあるので、相続漏れの無いように名寄帳も確認しましょう。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

代表社員

山内 浩

保有資格

代表社員司法書士 家族信託専門士

専門分野

家族信託 相続 遺言 生前対策

経歴

司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。


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