突然建物の解体費用を請求され相続放棄したケース
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相続放棄サポート
登場人物
被相続人
父(Bさん)
相続人
Aさん
Aさんの姉
Bさんの子3名
その他
Aさんの姉の夫(Cさん)
相談内容
「姉の夫から建物の解体費用を請求されている。相続放棄したい。」とAさんがご相談に来られました。
お話を伺うと、Aさんが費用を請求されている建物は40年前に亡くなったAさんの父(以下Bさん)が当時住んでいた不動産でした。
その建物は未登記でAさんの姉の夫(以下Cさん)の所有する土地の上に建っていました。
Aさんは幼少期、その建物に住んでいた記憶はありますが、今はCさん夫婦が物置として使用しており、固定資産税もCさん夫婦が支払っているという状態だったためCさんが所有していると思っていました。
相続人はBさんの子供の5名で、その中にAさんと姉が含まれます。
全員が存命だったため、現在この建物の所有権は相続人の5名で共有しているという事になります。
Cさんは土地を売却するため、老朽化した建物を取り壊す必要があるのでその費用を相続人全員に請求しているという事でした。
これをうけてAさんは弁護士に相談したところ相続放棄を勧められたので、その手続きのためにシーファースト相続相談窓口を訊ねてくださったのでした。
しかし、相続放棄の期限は「相続の開始を知ってから3ヶ月以内」と決まっています。
Bさんが亡くなった時からすでに40年経過していますので、Aさんとしては相続放棄が可能なのか不安に思っていました。
確かにこのケースでは一見、相続放棄は難しいように思えます。
しかし状況次第では3ヶ月を超えても相続放棄をする事ができます。
その状況とは、例えば裁判所のHPには次のように書かれています。
「相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるとき」
つまり相続が開始してから3ヶ月を超えた後でも予期しない財産が発覚して、予期できない理由があれば相続放棄をする事ができるという事になります。
この事をAさんにお話しして、今回のケースではこれに該当する可能性がある事をお伝えしたところ、少しホッとした様子で手続きを任せてくださいました。
解決までの流れ
Aさんに今までのお話をお伺いし、今回のケースは「相続財産が全くないと信じ、かつそのように信じたことに相当な理由があるとき」に該当すると判断しました。
前述の通り、Aさんは建物の存在は知っていましたがCさんが所有していると思っていました。
その理由として
・Cさんが使用していた
・Cさんが固定資産税を払っていた
などといったことがありました。
相続放棄をするにはこれらの事情を家庭裁判所に説明するための「事情説明書」を準備する必要があります。
事情説明書には「相続放棄の理由」として相続放棄をしたい旨、今回の事の顛末、財産の存在を知らなかった事とその理由、相続放棄をしたい動機などが書かれています。
私どもからAさんに入念にヒアリングをして案文を作り、Aさんに内容を確認していただきながら作成しました。
またこの書類の他にも相続放棄には戸籍一式と申述書が必要です。
これらの書類も私どもで準備をして一式を管轄の家庭裁判所に提出しました。
その後、家庭裁判所からAさんに照会書が届きましたが、照会書の書き方も弊所からアドバイスさせていただき、ご返送いただきました。それからは特にトラブルもなく、スムーズに進み、無事に相続放棄受理通知書を受け取る事ができたのでした。
まとめ
今回の様に三ヶ月超えても条件に当てはまれば相続放棄ができるケースがあります。
ただし、こういった場合は自分で判断をせずに必ず専門家に相談するようにしてください。
事情説明書は法律的な論点もありますし、自分で申請した結果、一度でも却下されてしまうと、もう同じ件で相続放棄の申述をすることはできません。
そうならないためにも自分で判断せずに必ず専門家に相談するようにしてください。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。