アメリカ在住の相続人と共にスムーズに不動産売却をしたケース
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相続手続きサポート
登場人物
相談者
Aさん
被相続人
Bさん
相続人
Bさんの妻
Bさんの子と孫(Cさん含む)
相談内容
「おじいちゃん(Bさん)の不動産を処分したい」と孫であるAさんが相談に来られました。
お話を伺うと相続人はBさんの妻と子供3人の計5人。Aさんのお父さんが存命ですのでAさんは相続人にはなりません。
Aさんのお話では「叔父さんの1人はすでに他界していて子供が二人いる。昔は従妹同士仲が良かったが、父と叔父さんが仲違いしてからは連絡を取り合っておらず、所在もわからない」との事でした。
相続人とは疎遠で連絡先がわからないとの事なので早速戸籍集めて相続人の調査に取り掛かりました。
解決までの流れ
Aさんのおっしゃる通り、叔父は他界しておりました。そして従妹2人の所在は調査でわかったのですが、その一人であるCさんはなんとアメリカにいる事がわかったのです。
相続人が5人だと確定して連絡先もわかった所で各相続人へ連絡を取る事にしました。
まずは全員に相続or放棄どちらにするかの意思を確認します。
今回の経緯と相続権がある事、Bさんの財産が不動産である事などを書面にして手紙を送りました。
全員が相続するという回答だったため全員で相続財産の分け方を決める事になります。
今回の相続財産は不動産のみです。
不動産を複数の相続人で分割するには一般的には4つの方法があります。
不動産を分割する4つの方法
■換価分割
→遺産全部を売却して現金に代えて、その現金を分割するという方法です。
現物をバラバラにすると価値が下がる場合などは、この方法が採られます。
■現物分割
→遺産そのものを現物で分ける方法です。
現物分割では、各相続人の相続分を均等に分けることは難しく、相続人間の取得格差が大きくなることもあります。その際は、その差額分を金銭で支払うなどして代償を付加します。
■代償分割
→遺産の現物を1人(または数人)が取り、その取得者が、他の相続人に対し相続分相当を現金で支払うという方法です。
■共有分割
→遺産を相続人が共有する方法です。
共有名義の不動産は、この後の利用や売却などに共有者全員の同意が必要です。
今回の場合は不動産を処分したいというご要望のため、不動産を換金してから分ける「換価分割」をすることで一致しました。
話がまとまればその内容を通りに遺産分割協議書を作成するのですが、そのためにはまだ調べる事があります。
次に調査するのは不動産の売却価格です。
金額がわからないまま話し合う事はできないという事もありますが、今回の不動産の建物は戸建てではあったもの古家で老朽化も見られたため売却が可能かどうかの査定が必要でした。
査定の業者選び
しかし、不動産業者による査定には費用がかかります。
これは相続人の方々に捻出してもらわなければなりませんので出来れば安く抑えたい部分です。
好運な事に不動産業者の店舗と該当物件は近所に位置しており査定にかかる出張費などの費用を抑える事ができました。
そして査定の結果、建物は価値が低い事がわかり、相続人を交えた相談の結果、更地にしてから売るという事に決まりました。
そして土地がいくらで売れて各相続人の取り分がいくらになるのかを計算して郵送で通知をしました。
相続割合
取り分について今回は法定相続分通りにという事で全員が合意しました。
・妻が2分の1
・子が6分の1
・孫が12分の1
相続登記
遺産分割協議書作り終えたので次は相続登記の手続きです。
相続登記には様々な必要書類が必要です。
例えば戸籍や印鑑証明等がありますが、これは日本の市町村役場で取得できる書類です。
Cさんはアメリカ在住ですのでこれらの書類に代わる物を集めなければなりません。
具体的には在留証明書やサイン証明書等です。
どちらも大使館で取得する物ですのでCさんには日本大使館に出向いて頂き、取得した書類を日本に郵送してもらいました。
他の相続人の方々は全員日本にいるので問題なく相続人全員の書類を揃えて法務局に申請して、約2週間~1か月程度で相続登記が完了しました。
登記ができたら次は売却の手続きです。
売却には2つの方法があります。
二つの売却方法
仲介売却
一つは仲介売却
これは不動産業者に買主を探してもらって売主と買主が売買契約を結ぶ方法です。
不動産業者には仲介手数料と支払います。
買主を見つける前に更地にする工事などをして準備をする必要がありますし買主が見つかるまでに時間がかかるのですが、相場価格で売却できる可能性が高いです。
業者買取
もう一つは業者買取です。
これは不動産業者に買い取ってもらう方法です。
売却代金は相場価格より低くなる傾向にはあるものの、手間がなく、すぐに売却できるメリットがあります。
買主を見つける手間がなく更地にする作業も買取った後で業者が行うので準備の時間も不要です。
今回のケースですとAさんの「夏までに解決したい」という希望があるため業者買い取りが最適でした。
買取りの業者は査定した業者と同じだったため話が早くスムーズに売却できました。
決済を無事に済ませ売却代金を各相続人に振り分けて今回の相続手続きを無事完了したのですが、なんとこの事をきっかけにAさんと従妹の親交が戻ったという嬉しい報告を戴く事ができたのでした。
まとめ
今回は連絡を取っていない相続人がいましたが、相続関係が複雑ではなかったため調査もスムーズで無事に連絡を取る事ができました。
不動産売買に関しても運よく当事務所と提携の業者がすぐ近所にいて査定も買取もとてもスムーズでした
相続人の一人が海外在住で書類集めには大変な部分もありましたが、それがきっかけに従妹同士で連絡を取り合う事になり20年もの間、仲違いをしていて疎遠な関係が円満な相続手続をきっかけに親交が戻ったという事例でした。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
山﨑 聡
- 保有資格
司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 成年後見
- 経歴
若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。