相続登記をしていなかった土地を相続放棄する方法とは?【長期相続登記等未了土地】
ご利用サービス
相続放棄サポート
登場人物
相談者:Aさんの妻
依頼者:Aさん
被相続人:
Aさんの曾祖父
Aさんの父
相続人:Aさん
相談内容
「夫宛てに『長期間相続登記がされていないという通知』がきたので相談をしたい」との事でAさんの奥様がご相談に来られました。
長期間相続登記がされていないという通知とは法務局から相続人宛てに「相続登記が長い間出来ていませんよ。準備しといたから早く相続登記しといてね。」というお願いの通知です
内容を確認するとAさんの曾祖父が被相続人で、Aさんは曾祖父の持つ遠方の土地の相続人の一人だったのです。
その土地の相続登記を済ませて欲しいという通知でした。
事情を把握した私たちはAさんの奥様に3つの選択肢がある事をお伝えしました。
・相続登記をせずに放置する
・相続登記をする
・相続放棄をする
AさんやAさんの奥様のご要望としては子供たちに負の財産を残したくないという事がありました。
ただ、曾祖父、祖父、父が亡くなってからかなりの年月が経っているため、相続放棄で相続権が解消できるかどうかは分かりませんでした。
当初は相続登記を考えておられたのですが、これだと登記費用がかかるだけでなく管理責任も残りますし、自分たちが他界した時に子供達が相続人となり、再びこの物件を登記するか放棄するかという話になってしまいます。
相続登記せずに放置する事にしてもやはり今ある課題がそのまま子供たちに移るだけで解決しないということと、今後、法改正で相続登記が義務化される予定でもあり、負の財産を残さないというご要望には適しませんでした。
ということで、色々悩まれた結果、相続放棄を進める事になりました。
解決までの流れ
戸籍集め
放棄をするにあたって私達はまずは戸籍の収集から始めました。
「長期間相続登記がされていない事の通知」が届いた場合「法定相続人情報」を取得する事ができ、登記申請する場合はこれが戸籍の代わりに使えるのですが、実はこれは相続放棄には使えません。
そのため、相続人関係が不明な場合は通常と同じように戸籍の調査・収集をする作業が必要となります。
とはいえ「法定相続人情報」によって相続人が誰か分かっているので、郵送での申請もスムーズに行う事ができました。
事情説明書の内容を精査
無事、必要な戸籍が集まったので、次は申述書と事情説明書を準備します。
今回は大昔に発生した相続に対しての相続放棄なのですが、Aさんが相続の発生を知った事や該当の物件の相続人であることを知ったのは通知を呼んだ時です。
そのため熟慮期間の3ヶ月以内だと考えられ、その旨を事情説明書に記載しました。
事情説明書は内容によっては放棄を却下されることもありますので慎重に言葉を選び作成します。
準備した書類を組み合わせて相続放棄申述書を裁判所に提出した結果、無事に相続放棄が認められる運びとなりました。
最後の住所地が分からない相続放棄
そして念のためお父さんと曾祖父の相続に関して放棄することを提案したのですがここでトラブルが発生します。
お二人ともなくなってからかなりの月日がたっていたためご両人とも最後の住所地がわかる住民票がでなかったのです。
最後の住所地がわからないと裁判所の管轄がわからず相続放棄を受け付けてもらえません。
そこで最後の住所地がわかる住民票の代わりになる土地の番号が記載された書類を集めることにしました。
まず曾祖父ですが、死亡記載のある除籍謄本と登記簿記載の住所地が同じ住所で一致していたため、こちらを最後の住所地として添付し、扱ってもらう事で裁判所と打ち合わせ承諾を得ることができました。
次に父ですが、こちらは運よくご家族の方が、父が死亡した時に住民票を取得しておりそれが今でも残っていました。
そしてそれぞれの管轄に、最後の住所地についての上申書を提出し、相続放棄を申請してどちらも無事に放棄することができました。
これで長期間相続登記がされていない事の通知が届いたことから始まった相続は全てを放棄することで子供たちに負の財産を残すことなく解決することができたのでした。
解決事例:被相続人の最後の住所が分からず相続放棄の申立ができないケース
長期間相続登記等がなされていないことの通知とは?
そもそも「長期間相続登記等がなされていないことの通知」とは法務局が登記記録上の所有者がお亡くなりになって30年以上を経過している土地について、相続登記を促す通知です。
お手元に通知が届いた場合、あなたが30年以上前に亡くなった登記上の所有者の法定相続人のお一人であるということになります。
今回のケースのように、相続放棄ができる可能性もあります。
長期相続登記未了土地の放棄は煩雑になりがちなので身近な専門家にご相談ください。
長期相続登記未了土地とは?
長期相続登記未了土地とは、相続が発生してから長期間にわたり相続登記が行われていない土地のことを言います。
法的トラブルや土地の有効活用の制限、税金の未払い問題が発生しやすいため、相続人全員の確認と調整を行い、相続関係を明確にして必要書類を準備し、法務局で相続登記を行うことが重要となります。
この手続きをスムーズに進めるためには、司法書士に依頼することがお勧めです。
相続登記は義務化されます!
これまで相続登記は任意の手続きでした。
しかし、2024年4月1日より相続登記は義務化となり、期限のある手続きとなります。
期限を過ぎてしまうと、10万円以下の科料となる可能性がありますので、相続登記を放置することはおすすめしません!
相続に関する無料相談実施中!
相続手続きや遺言書作成、成年後見など相続に関わるご相談は当事務所にお任せ下さい。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
予約受付専用ダイヤルは0120-079-077になります。お気軽にご相談ください。
相続手続き丸ごとサポートの料金
不動産の名義変更だけでなく、預貯金などの相続に関するあらゆる手続きをまとめて代行!
相続手続き丸ごとサポートとは、司法書士が遺産管理人(遺産整理業務受任者)として相続人様の窓口として、相続に関する不動産、預貯金、株券、自動車、保険金、年金などのあらゆる相続手続きをお客様のご希望に応じて一括でお引き受けするサービスです。
相続財産の価額 | サポート料金 |
---|---|
200万円以下 | 165,000円 |
200万円~500万円以下 | 220,000円 |
500万円~5000万円以下 | 220,000円~814,000円 |
5000万円~1億円以下 | 814,000円~1,364,000円 |
1億円~3億円以下 | 1,364,000円~2,904,000円 |
3億円~ | 2,904,000円~ |
※相続税の申告が必要な場合の税理士報酬等の諸費用は別途ご負担いただきます。
※弁護士、土地家屋調査士など各種専門家を手配した場合は、それぞれの報酬が別途発生します。
※相続人が5名様以上の場合は、5名様以降1名様につき5.5万円を加算させていただきます。
※財産数加算:手続き先数(金融機関支店数、不動産の管轄数)が10を超える場合、1つにつき5.5万円加算させていただきます。
※特殊財産加算:自社株式、外国の資産などがある場合は1 種類につき11 万円加算させていただきます。
※特殊分割加算:換価分割・代償分割の場合は5.5万円加算させていただきます。
※特殊相続加算:数次相続・代襲相続の場合は5.5万円加算させていただきます。
※特殊相続人加算:相続人が海外在住または外国籍の場合、1人当たり5.5万円加算させていただきます。
※相続放棄をされる方がいる場合は別途費用が必要です。
※上記料金の他に下記のような実費が必要です。
①登録免許税(法務局に支払う名義変更に必要な税金です。) 不動産評価額×0.4%
※市役所から届く「納税通知書」をお持ちいただければ当事務所で試算することが可能です。
②戸籍謄本等(例:450 円、750 円)、登記簿謄本(例:480 円) 等
※司法書士法施行規則第31条において、司法書士の附帯業務として相続人からの依頼に基づき、遺産管理人として遺産整理業務を
業として行うことができる旨が定められております。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。