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市役所からの書類で発覚!/岸和田市

ご利用頂いたサービス

相続放棄サポート

家族構成

依頼者:Aさん
被相続人:叔父
相続人:Aさん等

相談内容

Aさんは突然届いた市役所からの書類に驚き、ご相談にいらっしゃいました。

その書類は、身に覚えの無い市役所からで「空き家等の適正管理について」という書類でした。

内容としては、Aさんの叔父さんと思われる方が亡くなり、その方がお持ちだった一戸建てが空き家で放置されており、立木や草木が繁茂し、害虫等の発生する可能性があり、周りに迷惑が掛かるので、きちんと管理してくださいというものでした。

さらに、古い家と草木が生い茂った写真が同封されていました。

Aさんとしては、その叔父さんとはほとんど面識は無く、亡くなったことも知らなかったのでかなり驚かれたようです。

そして、市役所からの手紙には、Aさんのことを「ご相続人であるあなた」とも記載されておりました。おそらく、叔父さんにはお子様がいらっしゃらなかったか、亡くなっているか、相続放棄されており、Aさんのお父様はすでに亡くなられているので、代襲相続人として、Aさんが相続人になったと想定されました。

解決までの流れ

①売却が難しそうだったため、相続放棄を受任。

相続人だと、不動産を取得する権利もありますが、固定資産税を払ったり、不動産を管理する義務も発生します。今回も不動産自体が売却可能かどうか一応確認しましたが、売却は難しそうでしたので、相続放棄をすることになり、ご依頼を受けました。

甥の方が相続放棄をするとなると、以下のようにたくさんの書類が必要になります。

・被相続人の戸籍附票又は住民票除票
・被相続人の出生~死亡までの戸除籍謄本
・被相続人の子が死亡している場合は、その子の出生~死亡までの戸除籍謄本
・被相続人の直系尊属の死亡記載のある戸除籍謄本
・被代襲者(甥の父親)の死亡記載のある戸除籍謄本
・甥の戸籍謄本

②当事務所ですべての必要書類を取得、上申書、相続放棄申述書、事情説明書を家庭裁判所に提出して、相続放棄が完了。

被相続人の住所等も分からない中、ご相談者様がご自身で上記書類を揃えるのは大変ですので、当事務所ですべての必要書類(戸籍謄本等)を取得させて頂きました。

相続放棄を申述する家庭裁判所の管轄は、被相続人の最後の住所地になりますが、叔父さんは平成19年に亡くなっており、叔父さんの戸籍附票及び住民票除票は、市役所の保存期間を過ぎており、取得することは出来ず、叔父さんの最後の住所地が分かりませんでした。

管轄が分からない場合は、「おそらくここであろう」と思われる家庭裁判所に上申書を提出します。今回は、被相続人の戸籍謄本の死亡地及び一戸建ての場所を管轄する裁判所に提出しました。他、被相続人死亡から3ヶ月経過していましたので、相続放棄申述書の他、事情説明書も提出しました。

そして、無事、相続放棄が完了しました。

ポイント

最近は売却が出来ず(買ってくれる人、もらってくれる人がいない。)、固定資産税だけ発生する不動産も多く、相続放棄をする方が増えています。相続放棄は期限がありますので、ご不安な方はすぐご相談ください。

空き家問題の現状と課題

空き家は年々増加しており、現在では家の七軒に一軒が空き家になっています。これからも増加する事が予想され2033年には三軒に一軒が空き家になるとの予測もあります。
原因は高齢化だけでなく日本の新築人気も一因にあります。諸外国では販売される住宅の7割は中古物件ですが、日本では9割が新築物件となっています。
空き家問題は、犯罪の温床、景観を損ねる、倒壊や火事の恐れなどが起こりうる可能性があり、この国で解決しなければならない課題です。

空き家を放置する事のデメリット

今回の事例では無事に相続放棄ができましたが、空き家を所有する事は珍しくありません。
そして空き家を所有する理由のトップが相続ですので誰にでも起こりうる可能性があります。
空き家を所有し管理責任を負うとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

税金がかかる

所有している限り固定資産税を払い続ける必要があります。
また特定空き家に指定されてしまうと6倍の額の固定資産税を支払い続ける事になってしまいます。

近隣からの苦情

空き家の所有者であると近隣の方から苦情が届くことがあります。
空き家を放置すると害獣や害虫だけでなく、不審者の利用、放火などの人為的被害を誘発する要因にもなります。
内容の例をいくつか上げますと以下のような物です。
・建物が倒壊しないか心配なので取り壊してほしい。
・雑草が茂って虫などが湧いているので駆除してほしい
・誰かがごみ捨て場にしていて悪臭がするので片付けてほしい
・ねずみや野良猫等の害獣の巣や繁殖の場になってしまっているので駆除してほしい
・空き巣や不審者など見知らぬ人物が自由に出入りして心配なので戸締りしてほしい。
・スズメバチが巣を作っているので駆除してほしい。
・火事が心配なので燃え広がりやすいものを撤去してほしい

実際にこのような問題が起きている事を知りつつ放置し、トラブルが起きてしまうと損害賠償を請求される可能性もあります。

事故の賠償責任

空き家が原因で近隣に損害を出すと所有者に賠償請求される場合があります。
例えば家が倒壊してしまいその時、近隣住宅を損壊した。火事を起こして近隣に延焼した等です。
過失が認められれば賠償責任が認められてしまいます。
過失は認められる場合は例えば
・倒壊しそうな事がわかっていたが放置していた。
・燃え広がりやすい物がたくさんあるのに放置していた。
などです。
また近隣からの苦情を放置する事も過失であると認められる要因になる場合もあります。

資産価値が低下

建物は基本的に築年数が増えると価値が下がる傾向にあります。
また管理しなければ雨漏りや壁剥がれなど建物に損傷が出てしまい、修繕しなければならない事態にもなります。

解決策

手放す

手放してしまうのが最もスタンダードな解決方法です。
手放す事であらゆる責任と固定資産税から解放されます。
方法としては「売却」と「贈与」があり、売却は「仲介売却」と「不動産買取」があります。

・仲介売却
不動産会社に買主を探してもらいます。不動産買取よりも高額になる場合が多いです。

・不動産買取り
不動産会社自体に買取ってもらう方法です。売却金額は少なくなりますが、素早く現金化できます。

・無償譲渡
無料で誰かに譲り渡す方法です。無料ですが空き家からは解放されます。無償譲渡の相手を見つける方は自分で探すほかに「空き家マッチングサイト」を利用する方法があります。

「仲介売却」「不動産買取」「無償譲渡」の順で売却代金が高いのでこの順で探す事になるかと思います。

管理する

きちんと管理すれば問題も起きませんが手間か費用もかかります。
自分で管理
自ら管理する場合に必要な事はおおよそ以下になります。

最初にすること

・近隣への挨拶
・各種閉栓
・畳上げ
・貯水貯湯タンクの水抜き
・補助錠の設置
・台風の対策

継続的にすること

・郵便受け確認or転送手続き
・外周の清掃
・建物の外壁に損層が無いか確認
・庭木の剪定、草むしり
・管理看板の設置
・施錠確認と侵入の形跡の確認
・全室換気
・全蛇口とトイレの通水
・室内清掃
・雨漏り・カビ確認

空き家管理サービスの利用

自分で管理するとなると継続的に手間も時間も取られてしまいますし遠方であれば移動コストも掛かってしまいます。
空きやの管理を行うサービスがありますのでこれを利用すれば手間はかかりません。
費用は月額で5000円~10000円程度が相場です。

活用する

空き家を利用してオーナーになる方法です。管理委託やサブリースといった形態にする事が多いと思いますが、自分自身で経営をするという事も出来ます。
リフォームをする必要がある場合が多いので初期費用が高額になりがちです。

建物の活用例

・賃貸
・シェアハウス
・民泊
・ワーキングスペース、カフェなどの店舗

解体して土地を活用する

建物の老朽化が進んでいる場合には更地にしてから活用する方法もあります。
管理自体は楽になります。

土地の活用例

・借地
・駐車場
・トランクルーム
・ソーラー発電

空き家対策特別措置法って?

空き家対策特別措置法とは

空き家対策特別措置法は適切な管理が行われておらず、その地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている空き家問題を解決するための法律です。
空き家の放置によって発生する問題を解消する事が目的です。
例えば問題のある空き家の所有者に対して、行政から修繕や撤去の勧告や命令を出す事が出来ます。

どんな空き家が対象?

以下のような空き家は「特定空き家等」と認定されてこの法律の対象になってしまうかもしれません。
・倒壊しそう
・不潔すぎて実害がでそう
・景観を損なっている

税の負担が重くなる部分と軽くなる部分

「特定空き家等」に認定されると固定資産税の負担が増える場合もあります。
「特定空き家等」に認定されながら勧告や命令に従わずにいると、固定資産税の住宅用地特例から除外され、最大で6倍の金額になる事もあります。

逆に負担が軽くなる場合もあります。
譲渡税を計算する時の譲渡所得の控除がありますが、条件は厳しめです。
適用された場合は最大で3000万円の控除を受ける事ができるので相続物件を売却する場合は条件を満たしているか必ず確認するようにしましょう。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

江邉 慶子

保有資格

司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士

専門分野

相続 遺言 生前対策 家族信託

経歴

大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。


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