遺言執行者を専門家に指定し、株と不動産を円滑に相続したケース
登場人物
- 被相続人:父
- 相続人:長女(相談者)、長男
- (母はすでに亡くなっており、今回の相続には関与しない)
相談内容
生前に遺言書を作成されたお父様は、その遺言書で「専門家である当事務所(シーファースト相続相談窓口)」を遺言執行者に指定していました。
遺言の内容は、長女に不動産と証券を相続させる一方で、長男には預金を相続させるというものです。
お父様が亡くなった後、長女様(相談者)から当事務所にお父様ご逝去のご連絡をいただきました。
解決までの流れ
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相続人の確認・就任通知
最初に、被相続人(父)の戸籍一式を収集し、相続人が長女・長男の2名のみであることを確認しました。遺言執行者として、私たちは相続人全員に就任通知を郵送し、これから相続手続きを開始する旨を正式にお伝えします。 -
財産調査と財産目録の作成
遺言書には「不動産」「預金」「証券」の分配について明記されていましたが、正確な金額や種類を確認するために、名寄帳や登記情報、銀行口座、証券会社の口座などを調査。整理した情報をもとに財産目録を作成し、相続人全員に送付し、現状を共有しました。 -
不動産の名義変更(相続登記)
不動産は長女が相続する旨が遺言に示されていたため、必要書類を整え、法務局へ相続登記を申請。手続きには戸籍や遺言書、遺言執行者の証明書などを添付します。 -
預貯金の解約と分配
長男が相続することになった預金については、銀行で解約手続きを行い、そのまま長男の口座へ振り込みました。遺言執行者として、私たちが金融機関とのやりとりを代行し、煩雑な書類の準備も一括して進めます。 -
証券の移管手続き
被相続人名義の証券(株式や投資信託など)を、長女の口座に移管する手続きを行いました。証券会社との連絡・書類準備も遺言執行者が責任をもって対応します。 -
遺言執行完了通知の送付
すべての相続手続きが完了したところで、相続人全員に対して「遺言執行完了通知」を送付。手続き内容の最終報告を行い、疑問や不明点がないかを確認しました。
まとめ
今回のケースでは、父が生前に当事務所を遺言執行者に指定していたため、相続人である長女・長男は複雑な手続きを各自で行う必要がほとんどなく、スムーズに遺産分割を終えることができました。
また、相続人同士の直接的なやり取りが最小限で済むため、遺産分割をめぐるトラブルを回避できたのも大きなメリットと言えます。
遺言書に遺言執行者を指定しておくと、煩雑な相続手続き全般を専門家に任せられるだけでなく、相続人同士の衝突を避ける一助にもなります。将来の円満な相続を望まれる方は、ぜひ一度専門家にご相談いただくことをおすすめします。
当事務所では、遺言作成から遺言執行まで一括してサポートしておりますので、どうぞお気軽にご相談くださいませ。
この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first
代表社員
山内 浩
- 保有資格
代表社員司法書士 家族信託専門士
- 専門分野
家族信託 相続 遺言 生前対策
- 経歴
司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。