認知症や葬儀で親戚に負担をかけたくない~おひとりさま・おふたりさま対策~のケース
おひとりさま・おふたりさま対策~実際の事例から見る~
皆さま、こんにちは!堺事務所 司法書士江邉慶子です。
日本では、婚姻率や出生率の低下がどんどん進み、独身の方やお子様のいないご夫婦も増えています。お子様がいらっしゃっても、遠方に住んでいて、あまり頼れないという方も多いですよね。
堺事務所でも、そういった方の「生前対策」のご相談が増えています。
「独身なので、将来、自分が認知症になった時や亡くなった後が心配…」
「子供がいないので、将来、何かあったときに兄弟姉妹や甥姪に迷惑を掛けたくない…」
今回は、実際、私がサポートさせていただいたお客様の事例から、生前対策をご紹介します。
【相談内容】
「自分は子供がいないので親戚に迷惑をかけないか不安。生前対策と遺言について相談をしたい。」とAさんが相談に来られました。
Aさんの配偶者はすでに亡くなっており、Aさんには姉と妹がいますが連絡を取っておらず、さらに姉が認知症とのことです。姉や妹の子供(Aさんの甥姪)とも付き合いがなく疎遠だそうです。
Aさんには近くに頼れる身内がいないので、自分が亡くなった後や認知症になってしまった時に姉妹や甥姪に迷惑を掛けてしまわないか不安でした。
もしAさんがお亡くなりになると相続人は姉と妹になり、姉と妹で遺産分割協議をすることになります。
ただ、遺産分割協議をする場合、相続人が認知症であれば、その認知症の相続人に成年後見人をつけ、その成年後見人が認知症の相続人に代わって遺産分割協議に参加します。
親族が後見人と認められたら良いですが、仮に専門職後見人(司法書士・弁護士等)が選任された場合、被後見人の財産の中から後見人報酬を支払い続けることになります。それに、今は姉が認知症ですが、将来、妹も認知症になる可能性もあります…。
ほかに、Aさんが認知症になってしまうと1人で生活ができず施設に入所する事になるとその手続きを自分で行えなくなるかもしれません。
この場合も、サポートしてくれる親族がいない場合、成年後見人を選ぶ必要があり、時間が掛かります。
さらに認知症になると、生前対策や遺言書といった法律行為を伴う相続対策ができなくなってしまいますので、早急に対策を行う必要があります。
【おひとりさま対策】
①任意後見契約
シーファーストとAさんで任意後見契約を締結します。万一Aさんが認知症になってもシーファーストがAさんの後見人となってAさんの財産を守ります。
入出金の管理や施設の入居の事などをシーファーストが行いますので、親戚の方の負担を増やすことはありません。
さらに法人との契約は契約者が亡くなってしまうリスクがないためより安心できる内容になります。
②死後事務委任契約
シーファーストとAさんで死後事務委任契約を締結し、Aさんが亡くなった後の様々な手続きをシーファーストが行います。
例えば、役所での手続きやお通夜、葬儀、納骨の準備・執り行い等に加え、入所施設の片付けやご自宅の遺品整理など死後に必要な事務手続きは多岐にわたります。
事前に、Aさんから希望するお葬儀やお墓のこと、死後に連絡して欲しい人等を聞き、これらをシーファーストが行う事で親戚の負担を大幅に減らすことが可能です。
③遺言の作成
Aさんの死後、Aさんの財産を誰にあげるかを遺言に遺します。Aさんの要望に沿って内容をアドバイスし、公証役場との打ち合わせや証人の準備など、公正証書遺言を作成する手続きをシーファーストがサポートします。
④遺言執行のサポート
死後に公正証書遺言に沿って手続きを行う者を遺言執行者と言います。
公正証書遺言の中で、シーファーストを遺言執行者に指定していただくことで、遺言内容に沿って死後の相続財産手続きをすべてシーファーストがします。
シーファーストが遺言執行者になる事により、親戚の方や相続する方は財産関係の手続きをする必要がありません。
【解決までの流れ】
3つの公正証書を作成
まずは「遺言」「任意後見契約」「死後事務委任契約」の3つの公正証書を作成するためにAさんから要望を詳しく聞き取りました。
遺言…「誰に何をあげたいのか」を一緒に考え、親戚の方が何もしなくても良いように遺言執行者の権限を明確に記載しました。
任意後見契約…今までの生活状況を確認し自分が認知症になった時にどんな生活を送りたいか等を聞きました。
死後事務委任契約…Aさんが亡くなった後、どんな葬儀をしたいか、連絡して欲しい人がいるか等を確認しました。
これらの3種類を公証役場で公正証書として作成しました。
無事に公正証書が完成してAさんは心配だったことが解消したと大変安心して頂けました。
Aさんが認知症に
その数年後、Aさんは認知症になってしまいます。
Aさんのケアマネージャーさんとシーファーストは事前に連絡を取っていたため、ケアマネージャーさんよりシーファーストに連絡をいただきました。
私達は、後見人の仕事を開始させるため、家庭裁判所に任意後見監督人の申立てをしました。任意後見監督人の選任後、シーファーストがAさんの後見人として、施設に入居する手続きを行い、Aさんの財産の管理を行いました。
Aさんがお亡くなりに
しかし、程なくして入所施設からAさんがお亡くなりになられたとの連絡がありました。
連絡を受けた私たちは早速、死後事務委任と遺言執行を並行して取り掛かりました。
まず、お葬儀会社さんと連携を取り、お通夜・お葬儀等の手配、そして事前に聞いていた方へご逝去及びお通夜とお葬儀の連絡をしました。
その後、お通夜とお葬儀の執り行い、49日法要、納骨もシーファーストでさせていただきました。
行政関係では、保険や年金等の役所への届出、申請、手続きをし、未払い金(医療費等)のお支払い、光熱費やクレジットカード等の解約手続きもしました。
財産関係では、遺言内容が「清算型遺贈」でしたので、遺言執行者として、空き家となったご自宅の相続登記をし、不動産会社さんと連携し、遺品整理後、売却手続きをしました。遺言にきちんと「清算型遺贈」である旨を明記していたので、相続人が関わる事無く、遺言執行者であるシーファーストが売却までさせていただきました。
他、預貯金も解約手続きをし、すべて換価したものを遺言書の通りに分配しました。
Aさんの遺した財産を受け取った親族の皆さんは、疎遠だった自分たちが何もしなくても良いように、対策してくれたAさんの先見性にとても驚き、感謝していました。
その言葉を聞き、Aさんも喜んでいるだろうなと、感慨深いものがありました。
【まとめ】
シーファーストのおひとりさまプランは、Aさんのような状況にある方にとって非常に安心していただけるサービスです。
他にも「おふたりさまプラン」やその他の対策もあり、お客様の要望や親族関係によって、行う生前対策は変わってきます。
シーファーストでは、1人1人、1家族1家族に合ったプランを考え、老後を安心して過ごして頂けるよう提案をしています。
周りの方やお客様で、ご不安な方や1度話を聞いてみたいという方がいらっしゃればお気軽にご相談ください。^^
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。