相続手続き、不動産売却、債務整理を同時に行ったケース
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相続手続きサポート
債務整理
登場人物
被相続人
祖母
父
相続人
叔母
母
Aさん
相談内容
「祖母の家を売って父の借金を返済したい」とAさんがご相談に来られました。
Aさんが初めてシーファースト相続相談窓口で相談を受け頂いた時は祖母と父が存命でした。祖母は施設に入居し、認知症が進行中で、父は入院中で先が長くないとわかっていました。不動産が二つあり、祖母と父が共有で名義を持っていた不動産と、父の単独名義の不動産がありました。祖母と父が共有で名義を持つ不動産に担保はなく、父の単独名義の不動産には住宅ローンが残っていました。そして父は自営業をしており、借金がある状態でした。
この父の借金を返済するため祖母の家を売却する方法を検討しているとの事でした。
祖母と父はともに遺言書を作成する意思能力がなく、家族信託契約も出来ない状態でした。そのため、私どもは成年後見人を選任することをアドバイスしました。成年後見人は、裁判所が選任し、裁判所の監督の下で祖母の財産管理や法律行為を代行することができます。この制度を利用すれば、祖母の意思が問われる法律行為、例えば不動産の売却なども可能になりますが準備に時間がかかりますし費用もかかります。
この事を説明しその日は結論を出さず相談を終えました。
その後、しばらくして祖母が亡くなり、その数か月後に父も亡くなりました。相続手続きが必要となったのでAさんは再びシーファースト相続相談窓口を訪れてくださったのでした。
その時点で、父の単独名義の家には住宅ローンが残っていました。本来であれば、団体信用生命保険(団信)によって完済されるべきだったのですが、父はそれを解約し、その返戻金を事業の資金に充ててしまっていたのです。そのため、住宅ローンが残ってしまい、その返済も問題になります。
ローンの残った家にはAさんの母が住んでいたのでいたのですが、年金以外の収入はなく、一人で暮らしています。
母の年金ではとてもローンの返済をしながら生活をするのは無理でした。
Aさんは祖母の共有名義の家を売却し、その資金で住宅ローンを一括返済することを考えていました。
祖母の不動産の相続人には父以外にも叔母がいたのですが、叔母にはすでに話をしていて、相続放棄をする予定である事がわかりました。
そういった事情を踏まえ、祖母の家を売却する方法は可能である事と、それに加え、家の売却益が手に入るまでの間は返済額を金融機関に交渉する事で最低金額に抑える事ができる事もアドバイスしました。
また母も相続人でしたが、後に母の相続が発生する事を考えるとどちらの不動産もAさんが相続した方が良いこともお伝えしました。
ではそれで進めてくださいとの事でしたので相続手続きと債務整理の二つの案件を受ける事となりました。
債務整理は、借金が返済困難な状況になった際に、返済の方法や額を法的に見直す手続きです。
解決までの流れ
私達は早速、金融機関に連絡を取り、事情を説明し、月々の返済額を最低額まで下げて頂く事をお願いしました。
その結果、月々の返済額は当初の5分の1程まで下げる事ができ、生活を送る事が可能な範囲に収める事ができました。
次に相続手続きは戸籍集めから始めました叔母の相続放棄を家庭裁判所に申述し、無事受理されました。
そしてAさんと母に遺産分割協議書に押印してもらう等して相続登記に必要な書類を集め、法務局に申請して、無事に名義変更も行う事ができました。
そして祖母の不動産の売却についてはAさんの知り合いの不動産業者にお願いする事となり、売却することに成功しました。
その結果、売却金で残った住宅ローンを一括返済することができました。
まとめ
このように、司法書士法人C-firstは、相続手続きと債務整理を同時に解決するためのアドバイスを提供しました。相続登記だけで終わるはずだった案件が、借金問題も含めて複雑に絡んでくる事例となり、相続手続きと債務整理の二つの手続きをスムーズに行いました。
今回は売却できる不動産があったのでうまく返済する事ができましたが、もし返済の道が見えないのであれば相続放棄をせざるを得ず母の住む場所がなくなってしまう可能性もありました。
また、ローンの残債が140万円以下だったため私ども司法書士でも対応する事が可能でしたが、この金額を超えてしまうと弁護士を紹介する事になり、費用も多く発生していた可能性もあります。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
山﨑 聡
- 保有資格
司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 成年後見
- 経歴
若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。