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外国籍、後見人、養子、兄弟相続などがあってもスムーズに完了したケース

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登場人物

被相続人
Bさん(Aさんの姉)

法定相続人
Aさん(相談者)
Cさん(Aさんの姪)
Dさん(Aさんの弟)

その他
Dさんの後見人

相談内容

「姉が亡くなった、遺言書があるので手続きをして欲しい」とAさんが相談に来られました。
Aさんの姉であるBさんは結婚していたものの子供がなく離婚していた為、長い間1人暮らしでかなりのご高齢でお亡くなりになりました。
生前には遺言書を3通遺していて全て日付が異なりました。
遺言書が複数ある場合は最新の物が優先です。
3通のうち最新の物は糊付けと封がされ、Bさんはその内容と保管場所をAさんに伝えていました。

そして今、Bさんがお亡くなりになったのでその手続きにとシーファースト相続相談窓口を訪れてくださったのでした。

Bさんの遺した遺言書は自筆証書遺言だったので封を開ける前に検認の手続きが必要です。
検認は家庭裁判所で必ずしなければならない手続きです。
公正証書遺言や法務局の遺言保管制度を利用した場合、検認は不要ですが今回はそうではありませんでした。
検認の目的は遺言書の存在を相続人に通知して知らしめる、遺言書を確認し、偽造、変造、隠匿、滅失を防止するなどの目的があり、自筆証書遺言を用いた相続手続きでは検認により取得する検認調書が必要になります。

検認の手続きでは相続人全員に検認期日を通知するので相続人全員の連絡先が必要になります。
この場合の相続人とは遺言書に書かれている人の事ではなく法定相続人の事を指します。
法定相続人とは、法律で定められた相続人の事で、例えば子供や配偶者などです。
遺言書がなければ普通は法定相続人同士で財産の分け方を話し合う事になりますが、遺言書がある場合は遺言書の内容に則って、誰が何を相続するのかが決まります。

そしてBさんの法定相続人はAさん以外にBさんの兄弟が2名いらっしゃって、1人はすでにお亡くなりでその養子の方(以下Cさん)がアメリカ在住で結婚をしている方、もう1人は存命だが成年後見人が付いている方(以下Dさん)、ただ、どちらの方も連絡先を取ることは可能との事でした。

解決までの流れ

まずは戸籍集めから取り掛かりました。
戸籍は法定相続人を確定させるためにも必要ですが検認申立ての必要書類でもあります。
戸籍を揃えて確認したらAさんのおっしゃるように法定相続人はCさんとDさんの2名でCさんはアメリカ国籍になっていました。
検認の申立てをする前にそのお二人に裁判所からの手紙が届く送達場所の届出が必要です。
検認手続きでは相続人全員に検認日を通知する必要があるのでどこに通知するのかを裁判所に届け出しなくてはなりません。

まずアメリカ在住のCさんですが、以前Cさんから届いた郵便物にメールアドレスが記載されていたため、そこへメールを送ってみたところ程なくして返事を頂く事ができました。
事情を説明すると協力する事があれば協力すると快く返事を頂く事ができました。

Dさんについては後見人の方の連絡先を知っていた為、後見人と直接やり取りをさせて頂きました。
相続人が被成年後見人の場合は被後見人の住所に送っても受け取ることが事実上不可能なので、法定代理人としての成年後見人の住所に送る必要があり、また後見人としての代理権限を証明するために、成年後見人等の登記事項証明書が必要ですのでこれを成年後見人に送ってもらうようにこちらから連絡を取ることになりました。
成年後見人の方に事情を話すと快く登記事項証明書を送ってくださいました。

お二人から通知先の住所を聞く事ができたので裁判所と相談をしましたがDさんについては後見人の方へ通知する事になりました。
Cさんについてはアメリカに送ると国際郵便になってしまうのですが、通知の郵送料は荒予め郵便切手にて納付する事になっています。
国際郵便となると切手ではなくなってしまうので裁判所からのお願いでシーファースト相続相談窓口に送ってもらうことができないかの要請を受けました。
そこで、再度Cさんとやり取りをし、承諾を得て通知の内容はメールでお届けしました。

これで無事検認の申立てをする事ができ、程なくして検認の期日になりました。

出席者はAさん以外に成年後見人の方を出席され、この時初めて遺言書を開封する事になります。
内容を見ると遺言執行者は定められておらず、不動産と預金をAさんに相続させるという内容でした。

この内容を受けて早速、財産調査に入りました。
Aさんが不動産の所在も預金口座も把握されていたので調査はスムーズに進んだのですが預金が結局ない事がわかりました。
これは被相続人が生前にAさんに生前贈与で財産を渡していたためで、これは好運でした。

なぜなら遺言書によって預貯金の手続きを行う時は銀行から遺言執行者を定めるように言われる事があるからです。
今回の遺言書には執行者が定められていなかったため、預貯金の手続きをする場合は裁判所に遺言執行者選任の申立てという手続きをする必要がありました。

そのため預貯金の手続きは不要で、また不動産の登記手続きに関しても、相続人はAさんだけなのでAさんのハンコと検認した遺言書があれば、書類集めで苦労するものはないため、スムーズに申請する事ができたのでした。

まとめ

今回はアメリカ在住、養子縁組、成年後見人、遺言執行者が定められていないなど、相続手続きが難しくなる要因がたくさんあったにもかかわらずスムーズに手続きを進める事ができました。
この一番の要因は相談者自身が他の相続人と少しでも繋がりがあったからに他なりません。
後見人の連絡先を知らなければ、本人に通知が届く事なり手続きが増えていたでしょうし、後見人がついている事実を把握するまでに時間がかかったかもしれません。
またアメリカ国籍の相続人とのやり取りも海外の書類を取るのも大変ですし、取り寄せた書類に検認通知が届く住所が載っているのかもわかりません。
預金については通帳に寝かせたままにせず、贈与という形で生前対策をしていたのも良い方向に働きました。

このように相続人の連絡先を知っておくことはとても重要です。

この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

司法書士

山﨑 聡

保有資格

司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建

専門分野

相続 遺言 生前対策 成年後見

経歴

若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。


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