大量の財産を節税しながら相続したケース
ご利用サービス
相続手続き丸ごとサポート
登場人物
相談者
Aさん
相続人
Aさん
Aさんの母
Aさんの兄弟(3名)
その他
税理士の先生
司法書士
相談内容
Aさんは「父が他界し、自分で相続手続きしようと思い法務局に相談に行ったが、説明を受けてもよくわからなかった」とご相談に来られました。
父の不動産の名義変更の手続きをしたいとのご要望で、相続人はAさんの母と兄弟4名の計5名でした。
相続人が配偶者と子供いう事ならば手続きは難しくない事が多いのですが今回は違いました。
その理由は相続財産にあります。
教えて頂いた財産をざっと紹介すると以下のようなものがありました。
・預貯金が6行
・土地が遠方に10筆以上
・マンション数件
・戸建て数件
等々
この中には賃貸で入居している方が住む物件や敷地権化されていないマンション等もあり、相続手続きを行うには専門知識が必要な内容でした。
さらに財産の総額をざっと計算したところ、相続税申告の手続きも必要とわかりました。
また、不安要素としては相続税申告までの期日の事もあります。
Aさんがご相談に来られた時点でお父様がお亡くなりになって4ヶ月が経過していました。
相続税申告の期限が10ヵ月である事を考えると残り時間は6ヶ月。時間的に余裕があるとは言い難い状況です。
もし仮に期限を超えてしまうと財産額の5%の無申告加算税を支払う事になり金銭的なデメリットは莫大です。(※一律5%ではなく、場合によっては15%の場合もあり)
この事をAさんに説明させて頂いて、私どもがお手伝いできる手続きを3つに分けてご紹介させて頂きました。
① 「相続税申告」と「相続登記」の手続き
今回のケースですとこの2つが最も難しい部分です。
登記が必要な物件は遠方の土地、マンション、戸建て、住居用、賃貸用、等と様々な建物があるため量が多いだけでなく内容も複雑でした。
そして相続税申告もこれらの財産を計算する必要があるので手続きは複雑です。
②「預貯金」の手続き
① に加えて預貯金の手続きもお任せ頂くとよりスムーズで、お客様にとっても非常に楽です。
今回は相続税申告もあるため預金解約の手続きと合わせて残高証明書や取引履歴等、税申告に必要な書類集めもしなければなりません。
銀行とのやり取りになるので平日に時間がとりづらいとどうしても時間がかかってしまいます。
これらの書類集めは税申告に必要な物であるにも関わらず、税理士のサービスに含まれていない場合が多いので困る方も多い部分です。
弊所にお任せ頂ければ銀行手続きだけでなく書類集めも行い、そのまま税理士にお渡しする事ができるのでお客様の手間がありません。
③各相続人様の口座に振り分けるサービス
① と②の手続きを終えて、解約した現金に関しては、弊所の預り金口口座に一旦入金をし、各相続人様に相続した金額を弊所よりお振込みさせて頂くサービスです。
直接的なお金の作業ですので思い違いや些細なミスでトラブルになりやすい部分ですが、弊所が作業を行い防波堤となる事で争いが起こるリスクを減らします。
このサービスを合わせてご利用頂く事で相続手続きのほぼ全てを弊所にお任せ頂くことになり、今回の相続手続きでお客様の手間と負担はほぼなくなります。
これらのサービスのメリットデメリットをご説明させて頂いたところ、時間的余裕もない事から3つ全てのサービスをご依頼いただける事になりました。
解決までの流れ
【相続人調査】
まずは相続人調査のため戸籍集めから取り掛かりました。
相続人が全員ご存命のためスムーズに集める事ができ、この戸籍を基に法務局から法定相続情報一覧図を取得しました。今回は、銀行数等が多いため、法定相続情報一覧図があればスムーズに手続きを進めることが可能です。
【相続財産調査】
まず、預貯金に関しては、各銀行の残高証明書を取得する必要があります。さらに、相続税申告で税理士さんは約5年分の資金の移動を調査しますので、通帳で確認できない銀行については取引履歴を取得します。
次に、不動産調査です。漏れが無いように不動産所在地の市役所から名寄帳を取得し、登記簿で内容を確認します。
【相続税申告打ち合わせ】
弊所と税理士さん、お客様で相続税申告の打ち合わせをしました。生前の贈与は無いか等資金移動の確認や、少しでも相続税を減らすために葬儀費用等の財産から引けるものは無いか等のお話をさせていただきました。
【相続税申告準備】
相続税を計算する時に大事なことは、何といっても節税できるポイントを徹底的に追求する事です。
節税の手法はいくつかありますが、今回の場合ですと既に相続が発生してしまっているため対策できる事はほぼありません。
しかし生前に行なった財産の動かし方によっては相続税の計算に含む必要のない部分が出てくる場合があります。
不動産については不動産価格の計算に「路線価」を用いることで、少しでも税金を安くします。
路線価は国税庁のホームページで調べる事が出来、土地の形状によって金額が増減する場合があります。
例えば真四角の土地と極端に細長い土地があれば細長い土地は評価が低くなります。
これを奥行価格補正といって節税できるポイントです。
他にも田んぼとして使っていたなどの理由で窪んでいるなど場合などは、その窪みを修正する費用を相続税の計算に入れる事で節税できることもあります。
こういった土地の細かい情報は図面だけでは把握しづらいため、実際に現地に行って調査する必要があります。
今回も税理士の先生にしっかりと節税の糸口を調査していただきました
収益物件の状況も確認しました。
賃貸されているか空室かで相続税評価が増減します。
【遺産分割協議書作成】
調査結果を相続人様にお伝えし、財産の分け方を考えていただきました。配偶者控除や小規模宅地の特例などのご説明をし、二次相続(お母さまがお亡くなりになった際のご相続)の問題も考え、最終的な分け方が決まりました。そして、その内容通りに遺産分割協議書を作成しました。
【相続税申告】
遺産分割の内容から各相続人様の納税額が決まりました。税理士さんに相続税申告書を作成していただき、無事10ヶ月以内に相続税申告提出および納税を済ませることが出来ました。
【不動産名義変更・預金解約・振り込み・完了】
遺産分割協議書通りに弊所で不動産の名義変更をいたしました。その後、預金解約についても弊所で手続きをし、すべての解約金を弊所の預り金口口座に一旦入金をしました。そして、各相続人様の取得分の金額を各相続人様の口座に振り込みさせていただき、すべてが完了しました。
ポイント
今回は不動産の数も口座の数も多く、時間がかかる事が予想され、期限も6ヶ月しかありませんでしたので、手続きを急いで進めました。
相続税申告は準備が大変で時間もかかります。
役所関係や銀行は平日しか空いておらず、郵送で行なうにしても書類の準備が大変で工数も多いです。
特に今回の様に不動産の数が多く、内容も多岐にわたると大変で、手続きが間に合わず税申告が出来なければ延滞の料金が掛かる事もあります。
税理士だけに依頼すると申告に必要な残高証明などの書類集めを行なってくれない場合も多いですので、今回の様に時間に余裕がない場合は司法書士と税理士が一緒に行なうとスムーズです。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。