大人数の相続で認知症の方、生活保護受給中の方などにお話をさせて頂いたケース
ご利用サービス
相続手続きトータルサポート
登場人物
依頼者
Aさん
被相続人
Dさん
相続人
Bさん
Dさんの兄弟7名
その他
Cさんの代理人弁護士
相談内容
ご自宅に出張相談に伺うと「おばあちゃん(Bさん)の名義にするために手伝ってください」とAさんがおっしゃられました。
お話を伺うとAさんは以前、Bさんの息子さんと養子縁組をしていましたが今は離縁していました。
しかし、その後も家族同様の付き合いをしていたAさんとBさんでしたがBさんの夫であるDさんがお亡くなりになった事で相続が発生しました。
Aさんはすでに相続人ではないのですがBさんを助けたい気持ちから私達にご相談を持ちかけてくださったのでした。
財産には不動産が含まれていましたので相続登記が必要です。
相続人を調べてみるとDさん夫婦は息子と死別しており、他に子供はいなかったため、相続人にあたるのはBさんとDさんのご兄弟7名でした。
解決までの流れ
Dさんのご兄弟は全員存命でしたがBさんと連絡は取っていない為、私どもから手紙を送る事にしました。
7名全員に手紙を送った所、6名から返信があり、事情を説明して、6名には法定相続分で計算した金額をお支払いする事にしました。
5名からはスムーズにハンコを頂く事ができたのですが1名にはハンコを貰わなかった事情がありました。
生活保護受給者の取り分の扱い
実はその方は、生活保護を受けており、取り分を受け取ると生活保護費を返却しなければなりません。
これはDさんが亡くなった日から計算して支払う事になるので受け取った金額の全てを返却する事になります。
そこで私たちは相続放棄をご提案させて頂きました。
今回は兄弟相続ですので放棄をする事によって別の方が相続人になることはなく、放棄した財産は今いる相続人の方々に配分される事になります。
つまり、相続放棄をする事で誰も損をする事なく他の相続人の取り分を増やすことになります。
相続放棄の提案を快諾して頂き手続きを進めました。
しかしまだ返信の頂けなかった1名のハンコが必要です。
代理人弁護士とのやりとり
なんの音沙汰もないまま2ヶ月が経ち、諦めかけたその時、突如代理人の方からご連絡がありました。
事情を伺うと相続人であるCさんは90才を超え、現在は認知症を患っており、施設に入居しておりました。
Cさんには弁護士の代理人がついており、Cさんの成年後見人として選任された方です。
代理人の方に法定相続分の金額でハンを頂けるように交渉しましたが、「代理人としてはCさんの利益を最大限に考えたい。出来るだけ高い計算方法でお願いしたい。」との意向で実勢価格での計算を提案して頂きました。
実は法定相続分と行っても不動産の計算の仕方には色々あります。「納税通知書」「名寄せ評価額」「実勢価格」「路線価」などなどどれも金額が違います。
今回は、物件を販売する目的はないので「実勢価格」は適さないだろうという事で「路線価」を元に計算し、Cさんに支払う事になりました。
これで全てのハンコを揃える事ができ、無事に相続登記を終える事ができ、他の財産も一つ一つ手続きをして全ての財産を相続する事ができたのでした。
ポイント
今回の手続き自体はとても複雑でしたが、結果的に漏れなく進めることが出来ました。
一般的には法定相続分を支払う事でハンをついてくれると考えてしまいがちですが、今回の様に生活保護ため受け取れない場合や計算方法など折り合わず再計算する事になる場合もあります。
相続人が多くなるとトラブルになる要素も増えるので専門家に相談するのが安心です。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
山﨑 聡
- 保有資格
司法書士 行政書士 土地家屋調査士 宅建
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 成年後見
- 経歴
若くして、すでに業界歴11年を超える大ベテラン。相続をはじめ成年後見、遺言などあらゆる手続きに精通する生前対策のスペシャリスト。