遺言の相談は誰にすればよい?遺言書作成時の注意ポイント
遺言については、誰に相談すればよいのでしょうか。
遺言を残そうと思っても、本当にその通りに相続をしてもらう保証がないことに不安を抱く方は少なくないと思います。
無駄に争って欲しくない気持ちがある一方、最後の気持ちを示したい、遺言はとても気を遣うものでもあるでしょう。
そんなときは、やはり専門家へ相談しながら記載するのがオススメです。
ところで、「相続させる」と「遺贈する」の違いをご存知ですか?
一般に「相続させる」といえば、法定相続人に相続させることです。「遺贈する」は法定相続人以外の人に相続財産を無償で譲ることです。実はこんな言葉づかいについても、本来は専門家のアドバイスが必要なのです。
今回は、
- 遺言は誰に相談すべき?~遺言作成の相談先~
- 遺言作成時の注意ポイント
についてご紹介していきます。
動画でも解説!
>>遺言の相談はどこでする?資格やサービスごとの特徴を解説!
遺言は誰に相談すべき?
遺言書の専門家とは
遺言書作成の実務を行うのは、主に以下のような法律系の国家資格者です。
いずれも相続や遺言に関わる業務を行う国家資格者ですが、主たる業務が異なります。
司法書士
司法書士は、主に遺産整理全般や遺言執行者・相続登記(不動産名義変更)といった相続遺言の実務に関わっています。
税理士
税理士は、相続手続きよりも「相続税」の部分として関わってきます。遺言書作成を業とする税理士はあまり聞きません。
弁護士
弁護士は、相続トラブルや遺産争いがあった事案について、相談を受け代理交渉や裁判を行います。
行政書士
行政書士は、遺産分割協議書や遺言書といった事実関係書類の代理作成を行います。
それぞれの専門家に依頼するメリット・デメリット
司法書士
遺産に不動産を載せたい場合には、不動産をきちんと特定したうえで遺言書を作成することとなりますので、不動産が含まれる遺言書を作成する場合には司法書士へ依頼するのがいいでしょう。
税理士
他の専門家に比べて、業務として遺言書作成をしている税理士の数は少ないようです。特に相続税申告が必要でない場合にはあえて税理士に依頼する必要性はないように思えます。
弁護士
法律のプロである弁護士に頼んでおけばまず間違いないでしょう。遺留分を明らかに侵害する場合など、間違いなく争いとなることが予想されるような遺言書の内容の場合には弁護士に依頼するのが賢明でしょう。
行政書士
他の専門家と比べると費用が安いです。気軽に遺言書作成を行いたいのであれば弁護士よりも優れているかもしれません。
遺言作成の実務に精通しているとは限らない
ここまで専門家(4士業)について説明をしたのですが、気をつけるべきことがあります。
それは、「国家資格者だからといって遺言作成の実務に精通しているとは限らない」ということです。
例えば、司法書士の主業務は「売買に伴う不動産登記」です。相続や遺言はそもそもメイン業務ではありません。つまり、不動産売買に関する登記ばかりを行う事務所であれば、公正証書遺言を一度も作ったことがないことだって普通にありえます。
これは他の士業も同様で、法人顧問ばかりやる税理士は相続税申告をしたことがないかもしれません。弁護士も専門分野が分かれていますから、相続遺言の実務をあまり受任しない事務所もあります。行政書士も、そもそも主たる業務は「許認可申請」ですから、遺産分割協議書や遺言書を作ったことがない行政書士も沢山います。
その人の専門性を見ること
国家資格者で選択をするというよりも、依頼をする先生の「専門性」を見るべきだと思います。
自分が依頼をしようか検討している先生の専門性を見極めてから依頼をした方がきっとスムーズに話が進むと思います。
専門性を確認する方法の一つに、その事務所のホームページをみていただく方法があります。相続分野や遺言作成業務をよく受ける事務所であれば、遺言に関する記事や解決事例が沢山載っているというのはひとつの指標になるでしょう。
遺言作成時の注意ポイント
では、せっかく遺言を書いたのに「遺言の通りにならない」ということを回避するための注意ポイントを確認していきましょう。
(1)まず財産を整理する
ここで間違っていると、後で相続人間のもめごとになりかねないので、真っ先に確認しましょう。
(2)法定相続人を確認し、廃除したい者は明確に
法定相続人を取り違えていると、遺産分割の前提が崩れてしまいます。
相続開始後に隠れ相続人が出てきたら、相続人間でまとまっていた遺産分割協議も無効になってしまいます。
逆に、廃除したい相続人がいるなら、これも明確にしておく必要があります。
また、特別受益や特別寄与者等の注意すべき相手を把握しておくことも必要です。
繰り返しですが、必ず専門家のアドバイスを受けてください。
(3)遺留分を考慮する(民法1042条)
遺言でも、法定相続人の遺留分を侵害することはできません。
遺留分は、一定の範囲の法定相続人に認められている最低限の遺産取得分です。
単純にいえば、兄弟姉妹以外の法定相続人について、法定相続分の半分の遺留分が認められているということです。
2人の子供のうち、1人に全額を相続させ、もう一人には1銭も相続させない、といった乱暴な遺言を残した場合、相続させた子供が相続させなかった子供から遺留分侵害額請求を受ける可能性があり、兄弟間の争いのもとになりかねません。
遺言での相続分や遺産分割方法の指定、遺贈などについて、遺留分を侵害しないように専門家のアドバイスが必要です。
(4)遺言執行者を選任する
遺言執行者とは、遺言を実際に執行する事務手続きの担当者のことです。
遺言執行者の候補者に依頼をして承諾を得てください。
また、遺言執行者の指定をどなたかに委託したいのなら、その方の承諾を得ておいてください。
(5)遺言の趣旨は付言として残す
万一不明なことがあった場合などに解釈のよりどころになるので、どのような趣旨でこのような遺言にしたのか残しておきましょう。
(6)定期的な見直し
一度遺言を作っても、その後ご自身の気持ちが変化したり、あるいは相続人の事情の変化から別途配慮したくなることや相続財産の価値が変動することもあるので、遺言は定期的に見直しましょう。
遺言コンサルティングサポートの無料相談受付中!
相続手続きや遺言書作成、成年後見など相続に関わるご相談は当事務所にお任せ下さい。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
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【動画】遺言の相談はどこでする?資格やサービスごとの特徴を解説!
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
代表社員
山内 浩
- 保有資格
代表社員司法書士 家族信託専門士
- 専門分野
家族信託 相続 遺言 生前対策
- 経歴
司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。