相続税の失敗事例
失敗事例1
Aさんは、父が亡くなったので、父が商売をしてきた関係で長年お世話になっている顧問税理士に相続税の申告をお願いしました。
今までの父の確定申告をしてきて、財産もある程度分かっており、一番適切な判断をしてくれるはずと考えての判断でした。
Aさんは、顧問税理士に言われるがままに書類を準備し、その結果8,000万円の相続税を支払うことになってしまいました。
あまりの大きい金額にびっくりしたAさんはおかしいのでは勘ぐり、別の税理士にも相談しました。
すると、顧問税理士は大ざっぱな土地評価を行っており、相続財産が1億円も過大評価されていることが判明したため、税務署に「更正の請求」をして処理しました。
しかし、申告は期限内にしたものの、期限後に納付したため、延滞税を負担するとともに、税理士への報酬も2人分程度かかってしまいました。
なお、後で分かったことですが、顧問税理士は2~3年に1度くらいしか相続税の申告をしておらず、相続に関してはあまり得意ではなかったようです。
これまでの付き合いで安易に顧問税理士に相続税の申告をお願いしたAさんの大失敗となってしまいました。
失敗事例2
夫の死後、税務署による財産調査の結果、地下鉄駅近くの一等地に広い土地を所有していたことが判明しました。
そしてそこには妻名義の賃貸マンションが建っていました。
一般的には地代の支払いが発生しますが、夫の土地ということで地代の支払いはなし。
いわゆる「使用貸借(私に無償で土地を貸している)」 状態でした。
しかし土地を無償で貸していたため、貸宅地とは認められませんでした。
そのことによって、数億円の5~6割の評価減を受けることが出来ませんでした。
もし地代の支払いをしていれば、 高額な相続税を支払う必要などなかったのに……。
このケース、妻が地代を支払うことで、土地の評価額が約半分になり節税対策になったわけですが、実際に借地としての契約をしておらず、借地料の授受も行っていませんでした。
当然、相続税の節税対策にはなりませんでした…。
やはり、自分で勝手に判断してはいけません。専門家に一度意見を聞くようにしましょう!
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
代表社員
山内 浩
- 保有資格
代表社員司法書士 家族信託専門士
- 専門分野
家族信託 相続 遺言 生前対策
- 経歴
司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。