相続した不動産を売却した方が良いケース
ケース1:遺産が土地のみで、相続人が複数人の場合
Aさん(58歳 男性)は、地主であるお父様が亡くなりました。
Aさんのお父様は自宅周辺に土地を沢山保有していた為、相続税が発生しましたが、現預金、株式などの金融資産は保有していませんでした。
この状態で、遺産分割協議を進めると…
・土地は基本的には分割することができないので、特定の相続人だけがその不動産を相続すると、相続人間で不公平感が出て、後々揉めることが想定されます。
・土地を共有名義で相続しても、将来的に「売却する」、「自宅を建てたい」、「貸したい」などの土地活用をする際に、全員の同意が必要になり、揉める原因となってしまいます。
・共有名義のまま、相続して放置すると、現在の相続人のうち誰かが亡くなった場合、さらにその次の相続人に権利が移るので収拾がつかなくなり、土地活用も売却(現金化)も困難になってしまいます。
※現預金などが沢山あれば、土地を相続しなかった相続人がその現預金を相続すれば丸く収まります。
ケース2:今後住む予定のない不動産を相続した場合
Hさん(70歳 女性)は、夫の死亡にともない、別荘を相続しました。
しかし、その別荘は県外にあり、Hさん自身高齢になってきたこともあり、最近はほとんど利用することがありません。
この状態で、利用しない不動産を相続すると…
・自宅の維持費(修復、管理など)、管理費用が掛かかる
・固定資産税(保険)を払い続けなくてはならない
・誰も住まない家はすぐに傷んでしまい、価値が下がる
など、不動産を活用せずに保持しているとメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまいます。
相続した不動産の活用予定がない場合は、売却して現金化することで、生活費やその他の投資の資金として活用することをお勧めします。
ケース3: 納税資金を融通しないといけない場合
Aさん(58歳 男性)は、 地主であるお父様が亡くなりました。
Aさんのお父様は自宅周辺に土地を沢山保有していた為、相続税が発生しましたが、現預金、株式などの金融資産は保有していませんでした。
そのため、Aさんは相続税を現金で納付することが難しい状況です。
この状態で、急ぎ納税対策(現金を用意)をしないと…
・相続税は、原則として現金で納めるルールになっています。
・相続発生後10ヶ月以内に相続税を納付する必要があり、
それ超えると追加で延滞税を納めなければなりません。
・不動産の売却までに、「不動産査定」⇒ 「測量」⇒ 「販売活動」⇒ 「売買契約」⇒ 「所有権の移転」と様々な手続きが必要で時間がかかるため、急がないと「売却できない」、「不利な条件で売却する」ことになってしまいます。
以上のことから、相続税の支払いが困難な場合は、相続不動産を売却して納税資金を確保することをお勧めします。
※相続税を納税したとしても、その後不動産を所有していると、固定資産税が掛かり続けます。
ケース4:親が高齢で認知症のリスクがある場合
実家が親名義の場合、高齢になったときに実家をどうするかという問題もあります。
親に介護が必要になり施設に入所させたい場合、実家を売却して入所の資金に充てたいと考える方もいらっしゃいます。
介護施設に入所前親が認知症になってしまうと、実家の売却が困難になることがあり、結局実家を処分できず苦労するケースが多数あります。
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
代表社員
山内 浩
- 保有資格
代表社員司法書士 家族信託専門士
- 専門分野
家族信託 相続 遺言 生前対策
- 経歴
司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。