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孫に遺産を相続させたい! トラブルなしで財産を受け渡す方法

将来の相続を見据えたとき「孫に財産を残したい」と考える方が多数いらっしゃると思います。

しかし孫は通常「相続人」にならないので、何の対策もしなければ孫へ財産を残すことはできません。

孫に遺産を受け継がせるには遺言書作成や生前贈与などによる対策が必要です。

今回は孫に遺産相続させる方法について、遺言書の書き方や相続人間でのトラブル回避方法も交えて解説します。

1.孫は相続できるか

近年、孫に財産を残したいと希望して遺言や生前贈与をしたり養子縁組をしたりする方が増えています。少子化により孫の人数が減って祖父や祖母と一人ひとりの孫との関わりが強くなったこと、長生きする方が増えて孫と交流する機会が増えたこと、資産を持っている高齢者が多いことなどが影響しているようです。

しかし、孫は基本的に法律の定める「法定相続人」にあたりません。
孫が相続をするのは、子が先に亡くなっているなど、限られた場合のみです。子が生きているのであれば、孫は相続権を取得しません。なお、子に代わって孫が相続することを「代襲相続」といいます。
孫のいる方でも何もしなかったら遺産は配偶者と子または親が相続するので、孫は基本的に遺産を相続することはできません。

 

2.孫へ遺産相続させる方法

(1)遺言書を作成する

  1. 孫などの相続権のない人に遺産を引き継がせるには「遺言書の作成」が有効な手段となります。遺言書を作成すると、相続人以外の誰にでも財産を残せます。遺言書を作成すれば、亡くなられた方の意思に従って不動産や預貯金などの特定の財産を孫に譲り渡すこともできますし、「遺産の何割を孫に与える」といったように割合で定めて譲り渡すこともできるのでおすすめです。

  2. >>遺言書の書き方についてはコチラ

(2)養子縁組する

子がいる場合には子が相続人となります。子には実子だけでなく「養子」も含まれるので、孫と養子縁組していたら孫が「子」として相続権を取得します。たとえば、配偶者がおらず、子が二人、孫が一人のケースで孫を養子にしていたら、二人の子と養子となった孫がそれぞれ3分の1ずつ財産を取得します。

(3)代襲相続のケース

  1. さきほど述べたとおり、子が先に亡くなっており、子に代わって孫が相続することを代襲相続といいます。
    代襲相続は、特に手続をとることなく自然に発生しますので、不幸にも親より先に子が亡くなっている場合には、当然に孫が相続人になります。

  2. (4)生前贈与として贈与する

  3. 代表的な手法が「生前贈与」です。生前贈与とは、生きている間に財産を他の人に贈与する契約です。
  4. 生前贈与をしたらそのときからその財産は贈与を受けた人(以下「受贈者」ともいいます。)のものになるので、確実に贈与者から受贈者へ財産を引き継がせることができます。
  5. ただし、生前贈与をすると「贈与税」がかかる可能性があるので要注意です。孫に生前贈与するときには「贈与税の控除や特例」を上手に使いましょう。

    贈与税には「1年に110万円まで」の基礎控除が認められます。そこで1年に110万円以内の贈与であれば贈与税がかかりません。この非課税枠を利用して毎年110万円以下の贈与を繰り返す方法を「暦年贈与(れきねんぞうよ)」といいます。

    また、「相続時精算課税制度」も利用できます。この制度を適用すると、孫に最大2500万円分まで非課税贈与できます。ただし非課税となった部分については相続時に相続財産に加算され、まとめて相続税が課税されます。なお、2500万円を超える部分には一律で20%の贈与税が発生します。

>>生前贈与についてはコチラ

(5)教育資金として贈与する

「教育資金一括贈与制度」を利用する方法もあります。これも贈与税に関する特例の一種で、親や祖父母が子や孫に教育資金を贈与するとき、一定金額までが非課税となるものです。

孫名義で信託銀行に口座を作り、資金を一括で振り込んで贈与したら最大1500万円まで非課税で贈与できます。学校だけではなく塾や習い事の費用であってもかまいません(ただしその場合500万円が限度)。しかし、贈与を受ける孫が出金の際にいちいち領収証を提示しなければならないなど手続きが煩雑です。

これと似た制度に「結婚・子育て資金贈与」の制度もあります。これを利用すると最大1000万円までを結婚・子育て資金として孫に非課税で贈与することもできます。(結婚資金については300万円が限度)。

(3)生命保険の受取人に指定する

孫に財産を残すために利用できる、生前贈与以外の方法もあります。生命保険金を利用し、孫を生命保険の受取人に指定しておけば、死亡したときに孫にまとまったお金を残せます。

生命保険金は、法律上の「相続財産」ではないので遺産分割の対象になりませんが、相続税の課税対象になります。ただし、相続人が受取人である場合には、【法定相続人の数×500万円】まで、相続税控除が認められます。したがって、孫が代襲相続により法定相続人となる場合には、この控除を受けられます。

生命保険を利用すると、相続税はかかりますが、控除を受けられれば、相続税の負担も抑えることが可能です。

 

3.孫へ遺産を相続させる時の注意ポイント

  1. (1)他の相続人とのトラブル

    孫への相続は他の相続人とトラブルになりやすいです。本来相続人ではない孫に対して多くの遺産を与えすぎると、他の相続人の遺留分(最低保障分)を侵害し、相続人である配偶者や子との関係が悪化する可能性があります。孫を養子にしたケースなどでも不公平を感じた子との間で遺産分割協議が難航するケースが多いです。

  2. (2)相続税がより多くなる可能性がある

    遺言や養子縁組の方法で孫に財産を受け継がせると、相続税が2割増しになります。孫に遺産を受け継がせる際には、相続税の2割加算についても理解した上で、ある程度の税額シミュレーションをすることをおすすめします。

  1. (3)トラブルを回避するため、祖父母が生前確認しておきたいこと

    孫に財産を引き継がせた場合に発生するトラブルを防止するには、以下のような対処をしましょう。

    遺留分の確認
    孫へ多額の財産を受け継がせたことによって他の相続人の遺留分を侵害するとトラブルにつながります。なるべく子などの他の相続人の遺留分を侵害しない範囲で遺贈や生前贈与を行いましょう。

  2. 他の相続人の意向確認
  3. 孫を養子にするときには、孫の親以外の子(つまり親の兄弟姉妹)たちの意向も確認しておくべきです。何も告げずにいきなり長男の子(孫)などを養子にすると、他の兄弟姉妹が気分を害して将来のトラブルにつながります。

  4. 贈与税の確認
  5. 孫に生前贈与するときには、くれぐれも贈与税に注意が必要です。確かに贈与税にはいろいろな控除や特例が設けられていますが、利用するにはそれぞれ定められた要件や手続きがあります。税理士などの専門家に相談しましょう。
  6. 相続税の確認
  7. 相続税についてもある程度のシミュレーションが必要です。孫と養子縁組をしたら法定相続人が増えるので相続税についての基礎控除が増額されますが、先ほど述べたとおり、孫の相続税は2割加算になります。また生前贈与をしたらその分相続税を減らせますが、生前贈与後3年以内に死亡したら贈与税ではなく相続税がかかってきます。こういった税制についても知識を持って孫への遺産相続を考えましょう。

まとめ

孫に遺産相続させたいとき、もっとも手っ取り早く確実なのは「遺言書作成」です。まずは孫に遺産を与える内容の遺言書を作成しましょう。

遺言書にはいくつか種類(方式)がありますが、もっともオススメの方法は「公正証書遺言」です。公証人に遺言書を作成してもらったら、無効になりにくく紛失のおそれなどもないので安心だからです。まずは孫にどの財産を残すかを決めて、公証役場に申し込んで公正証書遺言を作成しておくのがおすすめです。

>>公正証書遺言書についてはコチラ

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この記事を担当した専門家

司法書士法人C-first

代表社員

山内 浩

保有資格

代表社員司法書士 家族信託専門士

専門分野

家族信託 相続 遺言 生前対策

経歴

司法書士法人C-firstの代表を務める。平成6年4月に貝塚市にて開業、平成25年4月には合併を経て事務所名をC-firstに改名。高齢者の生前対策について新しい財産管理承継ツールである家族信託などを活用して、高齢者の生前対策に最適なプランを提供する。


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