【遺言で失敗しない!】検認不要の遺言書のご紹介
司法書士の江辺慶子です
今回は遺言書の検認のデメリットと
検認を不要にする
遺言についてお話ししたいと思います
今回の事例
事例はこうです
Aさんは妻であるBさんに自分の財産全てを遺すという遺言を書きました
そしてそれをBさんにも伝えていました
そしてAさんが亡くなった後、Bさんはその遺言書に沿って預金の解約手続きをしました
ただ銀行から「検認(済)証明書がないと手続きができませんよ」と言われてしまいました
検認のことを知らなかったBさんは、色々調べて家庭裁判所に出向き戸籍を集めたり申立書を作成したりして結局、検認手続きが終わるまで3ヶ月ぐらいかかってしまいました
また夫の兄弟は取り分がないのに家庭裁判所まで来てもらうことになってとっても恐縮な思いをしたそうです
ではこのような事態を防ぐためにはどのようにすればよかったのでしょうか
公正証書遺言以外の遺言は検認を終えなければ銀行の手続きや不動産の名義変更をすることができません
検認のデメリット
検認は遺言書の改ざんや差し替えを防ぐために必ず必要になる手続きです
検認をせずに勝手に遺言書を開けたり手続きを進めてしまうとペナルティがあります
五万円以下の過料に処せられる場合があります
そして遺言書があるのにわざと隠し対しても相続権を失う場合があるので注意が必要です
検認には次のようなデメリットがあります
①費用がかかってしまう
専門家に依頼すると五万円から20万円ぐらいかかってしまいます
②時間がかかってしまう
戸籍などを集めるのに早くてもう一か月長ければ3,4ヶ月かかってしまってその間基本的には相続手続きを進めることができません
③相続人全員に検認期日通知書が送られる
検認期日に遺言書開封するのですが出席するかどうかは相続人の任意にはなりますが出席したいなと思う方がご高齢であったり遠方に住んでる場合は移動がその方の負担になるかもしれません
④申立人は出席する必要があり
そしてこのデメリットは相続人が全て負担することになります
相続人のために書いた遺言書なのに相続人の負担になってしまうということはきっと書いた本人も本意ではないと思います
検認が不要になる遺言書の書き方
ではここで検認が不要になる遺言を紹介します
一つ目は公正証書遺言二つ目は法務局の遺言保管制度です
一つ目の公正証書遺言は公証人の下で作る遺言になります
公正証書遺言はなくなってすぐ検認なしに相続手続きを進めることができます
ただし公正証書を作る際に費用がかかってしまったり、証人や公証人に遺言の内容を知られてしまうというようなデメリットはあります
二つ目の遺言保管制度は法務局で遺言を預かってもらえる制度です
これは亡くなった後に法務局に行って遺言書情報証明書を発行してもらえれば相続手続きを進めることができます
ただし書いた本人が法務局に出向かないといけないなどの手間があるデメリットはあります
この二つは費用がかかったり手間がかかったり書く人にとってはデメリットの部分はありますがされた人は検認手続きをしなくてもすぐに相続手続きが始められるということで相続人の負担を減らすことができます
まとめ
まとめです
保管制度を使わない自筆証書遺言は検認が必要になりそれは相続人の手間や負担になります
注意したいのは相続人の手間負担になるということです
遺言書は書いた人が遺された人皆さんが円満に相続してほしいという願いが込められています
ほんの少しのすれ違いで相続人同士が争いに発展していくのたくさん見てきました
自分のひと手間で遺族が争うリスクが減らせるのであればせっかく残す遺言ですので検認が必要のない方法で遺言書を作成していただければと思います
この記事を担当した専門家
司法書士法人C-first
司法書士
江邉 慶子
- 保有資格
司法書士 相続アドバイザー 2級FP技能士 行政書士 宅建士
- 専門分野
相続 遺言 生前対策 家族信託
- 経歴
大学卒業後、不動産会社に勤務。自身の祖父の相続経験から「相続争いになる人を減らしたい」という想いがあり司法書士試験にチャレンジし、合格。平成27年7月から「司法書士法人C-first」に入所。入所時から相続を担当し、相談件数400件以上。セミナー講師も務め、生前対策の大切さを伝える。